しかも、いま感染が拡大している欧米よりも、日本は一足早く国内感染例が確認されていたのだ。そして、多くの国が大規模な財政措置による緊急対策を早急に発表し、現金給付や休業補償のほか、フランスでは16歳以下の子どもを持ち在宅で仕事ができない保護者に対する給与の50〜100%の補填策なども打ち出されている。にもかかわらず、日本はいまだに「緊急」と言いながら追加経済対策を発表できていないのである。これを「後手後手」と呼ばずして何と言うか。
挙げ句、遅れに遅れをとっている上に、消費税率引き下げもなく「商品券」を配るという無能ぶり……。ネット上では、この「商品券」の対象に観光が含まれていることに対し、「自民党の二階俊博幹事長が一般社団法人全国旅行業協会の会長だからか」などと訝しむ声が広がっているが、前述したように政府が不要不急の外出を控えるように呼びかけているなかで「旅行に行け」と促すことの矛盾を考えれば、こんなときでも利権優先で動いていると国民に疑われても当然の話だ。
無論、今回の一律現金給付見送りという報道への反発を見て、安倍政権が方向転換する可能性もゼロではない。だが、事ここに至っても「国民の命を守る」という意識が安倍政権にはまったくないことは、これではっきりした。このままでは、本当に国民はこの国の政治によって殺されてしまう。そのことをもっと強く認識しなくてはいけないだろう。
(編集部)
最終更新:2020.03.25 08:31