百田が告発したのは、もっと大物の可能性もある。そのひとりが“ネトウヨの女神”櫻井よしこ氏だ。さまざまな政治活動で安倍首相と一体化し“安倍首相の婆や”とも言われる櫻井は、選挙でもなんのてらいもなく“官邸の肝いり”議員の応援活動をやっている。たとえば、昨年先の参院選では、“安倍麻生道路”忖度発言で、落選のピンチにあった塚田一郎・元国交副大臣の応援演説に入り、野党統一候補・打越さく良氏に事実歪曲の攻撃を浴びせていた。
そして、櫻井は今回のコロナ対応でもありえないような安倍首相擁護を展開している。櫻井のネットテレビ「言論テレビ 櫻LIVE」(2月20日放送)で、コロナ対応を取り上げた際には、こんな発言をしていた。
「私、安倍さんは、本当に安倍政権でなければここまでできなかったこともいくつかあるだろうというふうに思うんですけど、やっているにもかかわらずなぜ評価されないのか」
しかも、櫻井はこんなフェイクまがいのことまで口にしていた。
「2009年に民主党政権のときに、新型インフルエンザで200人以上の死者が出たわけですけれども。そのときに、この法律を一生懸命に変えようとしたんですって、厚労省のほうから変えようとして変えようとして変えようとしたけど、民主党政権が動かなかった。そのツケをいま自民党政権が払っているっていうのが、実態なんですよ」
説明するまでもないが、新型インフルエンザが流行し始めたのは民主党政権でなくまだ麻生政権のとき。政権移行時にまだ収束はしていなかったとはいえ、これを民主党政権のせいというのはあまりに無理があるだろう。櫻井氏はとにかく安倍政権を擁護するためなら、どんなインチキ、デマだろうが平気で口にするところまできている。そういう意味では、百田氏が告発したのが櫻井氏だったとしても、不思議はない。
だが、安倍首相や官邸、自民党から利益を得て、その世論操作に全面協力している「保守論客」は、この3人に限った話ではない。『Hanada』(飛鳥新社)や『WiLL』(ワック)、産経新聞、そういったメディアに跋扈している右派評論家や安倍応援団ジャーナリストも、ほとんど変わりはない。