「屁理屈に近いような逃げ口上が多いから長引く」というのは、まさに高田の言う通りだ。疑惑を晴らすために証拠を出すべきなのは政府と安倍首相なのに、「幅広く募ったが募集ではない」だの「ログを開示すると国家機密漏洩の危険がある」だのと常軌を逸した答弁を次々に繰り出し、そのせいで追及はここまで長引いているのは明白な事実だからだ。
しかも、今回も公文書を白塗りにして改ざんするという重大な問題が引き起こされている。このまま野党が追及をやめれば、行政監視という機能が果たされないことになるのだ。
だからこそ、「出すものは出せ」「隠蔽はやめろ」と追及していかなくてはならないのだが、テレビではそんな声はほとんど聞こえなくなってきた。そして、前述した『ひるおび!』での志らくの「野党もどっちもどっち」、八代弁護士の「去年の新聞の見出しみたい」というコメントが垂れ流されることで「桜を見る会」問題がフェイドアウトしようとしているのである。もちろん、こうした状況にほくそ笑むのは安倍首相だ。
そうしたなかで、高田がしっかりと本質的な問題に言及したことは重要なことだ。高田といえば、安保法制をめぐっても〈この安保法制は憲法違反。まともな論拠がない上に安倍氏、中谷氏、高村氏、若手議員などなど、申してることが横暴でむちゃくちゃだもの〉などと安倍政権を批判するツイートを数々おこない、2016年の参院選時にも改憲を選挙の争点から隠そうとしていることを指摘し続けた。じつはこの『高田横粂の世相談義』という番組でも、昨年、憲法学者の木村草太氏をゲストに招いて沖縄辺野古新基地建設について特集し、高田はそこでも県民投票の結果を無視する政府の対応を批判し日米地位協定の見直しや憲法改正の危険性に言及していた。
そして、今回の高田のコメントも「さすが」と言わざるを得ないが、しかし、惜しむらくは、これがネット番組での発言だということ。「屁理屈に近いような逃げ口上が多いから長引く」という真っ当な話を、地上波の番組がしっかり指摘しない・できないこの体たらくを、放送人は恥ずかしいとは思わないのだろうか。
(編集部)
最終更新:2020.02.06 08:09