しかし、菅官房長官といえば、最近、側近議員の相次ぐスキャンダルで急速に発言力が低下。総裁選レースから脱落寸前と評されている。しかも、ポスト安倍狙いの露骨な動きをしたことで、安倍首相との間に隙間風が吹いているとも言われている。実際、安倍首相が昨年12月29日放送の『NIKKEI 日曜サロンSP』(BSテレ東)で「ポスト安倍」の具体名に言及したときも、岸田文雄・自民政調会長、茂木敏充外相については大絶賛だったのに、菅官房長官の名前は3番目で、「日米の様々な懸案について交渉した経験がある」とあまりにもそっけない評価だった。
そんななかで、菅応援団として有名な音楽業界のドンが「安倍さんでなくて菅さん」などと露骨すぎるツイートしたのだ。これはどういうことなのか。
たんに松浦会長が政治状況や空気を読めないバカだということなのか、それとも菅官房長官に逆風が吹き始めたとき、恵がMCを務める『ひるおび!』で露骨すぎるヨイショ特集を放送したが、あのときにささやかれたように「菅官房長官に応援を頼まれた」のか。しかし、菅官房長官に頼まれたとしても「安倍さんでなくて菅さん」とまでいうのは、明らかに逆効果だろう。
実は、松浦会長が今回、菅待望論を語った裏には、IR利権狙いがあるのではないかとささやかれている。というのも、松浦会長は、カジノ推進派として知られているからだ。
2016年には、日本のライヴエンタテインメントにIRは不可欠だとして、「国がなんらかの支援をするとか、IRに乗っかる以外は、難しい」「(IRのなかで)毎日アーティストがレベルの高いショーをするのは有望だと思うんです」(「東洋経済オンライン」2016年8月26日付)と発言したこともあるし、IRの調査・研究をおこなう「ロケーション・エンタテインメント学会」副会長は、エイベックスのグループ会社の代表を務めていた人物だ。
また、エイベックスはラスベガス・サンズが展開するシンガポールのIRであるマリーナベイ・サンズの麓で2018年からカウントダウンイベントを開催。このイベントは〈日本IRコンテンツの好例〉と評されている(「カジノIRジャパン」2019年1月4日付)。周知のようにラスベガス・サンズは日本でも横浜か大阪のカジノ運営に参入する可能性が高く、松浦会長はIRに乗じたエンタテインメントビジネス独占を狙っていると言われていたのだ。
「ただ、ここにきてIR汚職などで、日本のカジノ計画には暗雲が立ち込め始めたため、松浦会長も焦っているんだろう。それで、カジノ利権を握る菅官房長官への待望論を露骨に口にしてしまったんじゃないか」(芸能関係者)
「安倍さんでなくて菅さん」という松浦会長の願望は果たして実現するのか。もっとも、芸能人やメディアを取り込み、利権をちらつかせて求心力を高めるやり口は、安倍首相も菅官房長官も同じ。どちらにしても、一部の取り巻きだけが利益を貪り、多くの国民がどんどん不幸になることには確実だろう。
(編集部)
最終更新:2020.01.18 07:04