だが、このようにカジノをめぐって様々な疑惑が噴出しているというのに、当の菅官房長官は、横浜はもちろんのこと北海道でのカジノ誘致を諦めていないらしい。
たしかに菅官房長官は特捜部の捜査の動きを察知して、鈴木知事に北海道のカジノ誘致見送りを表明させたものの、これは「見送り」でしかなく、現に鈴木知事は「準備を進める」と述べた。というのも、2021年夏以降、国が最大3カ所のIR開設地の区域整備計画を認定する予定となっているが、その3カ所の選定を2カ所にし、残り1カ所はその後で選ぶという案があり、誘致見送りの表明前に鈴木知事は「菅義偉官房長官からこの話をされ、賭けていた」と道幹部は地元・北海道新聞の取材に答えている(2019年12月28日付)。
しかも、誘致見送り表明後の12月18日には、鈴木知事は知事公館で苫小牧でのカジノ参入に意欲を示してきたハードロック社などの北米系企業4社幹部に説明をおこない、その場で〈将来を見据えて誘致への意欲を強調〉。さらに、鈴木知事が退出したあとには、前述とは違う道幹部が「ここだけの話」と前置きした上で、上述の「2カ所を決めたあとに残り1カ所を選ぶという案」が出ていることを伝えたという(同前・北海道新聞)。こうした鈴木知事の前向きな姿勢を踏まえてか、ハードロック社やカナダのIR投資会社であるクレアベスト社などは、北海道カジノ誘致活動をつづける方針を示している。
この北海道の「カジノ誘致一旦見送り」は、北海道で繰り広げられたカジノ汚職の捜査による誘致反発のほとぼりを冷ますという意味だけではなく、「カジノ誘致がほぼ決定」と言われる横浜・大阪にくわえて北海道まで同時に誘致が決まると、菅官房長官が利権を握るカジノが3件中2件を占めることへの批判を避けるため、決定時期をずらそうとしているのだろう。
ここまできても傀儡知事を動かし、カジノ利権を手にしようとする政権ナンバー2の菅官房長官。今後の捜査進展に期待するほかない。
(編集部)
最終更新:2020.01.10 11:19