西野、梶原、又吉が出演した『ぼくらの時代』(番組HPより)
チュートリアル徳井義実の所得隠し・申告漏れ問題で、吉本興業とテレビ局がまたもや後手後手に回る対応を見せた。報道のすぐ後、吉本は早々に「徳井の謹慎や番組降板は全然ない」と断言。テレビ局も吉本に言われるがまま、徳井の番組をそのまま放送、今後も出演させ続けると発表した。ところが、その後、世論の批判が収まらず、結局、徳井はあらためて芸能活動を自粛する事態になってしまったのだ。
この有様を見ていると、吉本興業はあの闇営業問題で何の反省もしなかったどころか、逆に「何をやっても責任取らずに乗り切れる」と自信をつけてしまったのではないか、そんな気さえしてくる。
そして、こうした会社の傲慢な姿勢を支えているのが、松本人志をはじめとする所属芸人たちだ。一時は加藤浩次、友近ら勇気ある一部の芸人が大崎洋会長、岡本昭彦社長ら上層部に対して退陣を求めるなど、真っ当な批判の声を上げたものの、“影のドン”松本人志が大崎体制擁護の姿勢を鮮明にすると、一気にトーンダウン。ほとんどの芸人が何事もなかったかのように口をつぐんでしまった。しかも、最近は逆に積極的に上層部に尻尾をふって媚びる恥知らずな芸人も出てきている。
実は、20日に放送された『ボクらの時代』(フジテレビ)でも、その吉本芸人たちの何とも情けない姿が映し出された。
『ボクらの時代』というのは、著名人3人による鼎談番組で、この日はピース又吉直樹、キングコング西野亮廣、梶原雄太が出演。3人はNSC同期だというが、又吉は芥川賞作家、西野は絵本作家やオンラインサロンで活躍、梶原はYouTuberと、全員が芸人らしからぬ文化人的活動や新しいメディアへの進出で注目を集めている。当然、番組ではいかに自分がチャレンジしたか、既成の枠にとらわれない新しい視点を持っているかという“意識高い系”トークが繰り広げられた。
なかでも、相変わらずだったのが西野だ。ひな壇芸人を拒否したときの軋轢を振り返りながら「芸人を肩書きだけで論じることが、もう終わってる。そうじゃなくて芸人は“姿勢”だってこと。みんながこっちっていう時に、こっちもあるよって言っちゃう、そういう人であるっていうこと」などと胸を張り、こんな説教を延々語り始めた。
「最近、“知らない”というのと“嫌い”という感情が無茶苦茶近い。ユーチューブのことを知らないから、なんか悪いものなんでしょ、嫌い、とか、オンラインサロン、宗教でしょ、なんか悪いもんでしょ、詐欺でしょ、嫌い、みたいな。知らないことを嫌っていることがむちゃくちゃ多いな、と。そこでむちゃくちゃ出遅れてるなと」
自分たちがやってることにはまらない人間を全員「遅れてる」扱い。西野なんて新しそうに見せて昔ながらの自己啓発ビジネスをやってるだけなのに、よくもまあこんなに自信満々に説教できるものだと感心するが、それでもこの程度の自慢トークだけなら取り上げるほどのことでもない。
唖然としたのは、その後。話題が吉本の闇営業問題と問題に及んだ時だった。これまでの“俺たちは新しい視点を持ってるぜ”ポーズから一転。吉本興業の旧態依然たる体質を全面擁護し始めたのである。