周知のように、クールジャパン機構は日本アニメの海外配信事業の中止など出資事業の失敗が相次いでおり、赤字を重ねつづけてきた。その一方で、同機構は吉本関連事業に多額の出資をおこない、「現代ビジネス」7月27日付記事によると、2014年には〈吉本興業や電通などで構成されるコンソーシアムによるエンターテインメント・コンテンツの創作・発信事業に10億円が投入〉。さらに2018年には〈吉本興業が参加する大阪城公園でのエンターテインメント発信事業に対し、12億円が投資された〉と指摘している。
「こうした安倍政権との距離の近さ、中央省庁との関係、大阪府や大阪市との実績が格好の宣伝材料となって、他の自治体からも吉本に発注がいくという構造になっています。しかも、吉本も行政ビジネスにかなり力を入れており、小さな自治体にはたいして売れてもいない芸人を押しつけるなど、えげつないビジネスも展開している」(スポーツ紙担当記者)
今回、注目を浴びている京都市の“ステマ”はもちろん批判されるべきだが、その背景に、吉本が政権とベッタリとなって、自治体や政府の事業を大量に受注していることを忘れてはいけない。行政は貧しい住民に対して社会保障や生活保護のカットなどを行う一方、吉本のような大企業には“広告”を委託してカネを落としているのである。しかも、その“効果”が検証されることは皆無。実質的なブラックボックスだ。もう一度言うが、京都市の「1ツイート50万円」は氷山の一角。この状況のおかしさを改めて考えなくてはならない。
(伊勢崎馨)
最終更新:2019.10.28 11:33