亮の口からは、さらに衝撃的な言葉が飛び出した。「謝罪会見をしたい」という話し合いの過程で、吉本側がこう説得してきたというのだ。
「『在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本の株主やから大丈夫や』言われました」
本サイトでは以前から、東京と大阪の民放キー局のほとんどが吉本興業の株主になっていることから、民放各局とズブズブの関係で、テレビでの吉本批判がタブー化していると繰り返し指摘してきた。しかし、まさかここまで露骨に「株主だから大丈夫」と言葉にまでしていたとは驚きだ。
宮迫と亮は、会見中何度も、もともとは自分たちが詐欺被害者の存在などに思いが至らず軽い気持ちで嘘をついてしまったことが問題と繰り返しており、それも紛れもない事実だが、そもそも彼らがそのような甘い認識を持った背景にはこの吉本全体の「テレビ局も身内だから大丈夫」という意識があったことは間違いないだろう。
また会見では岡本社長の名前しか出なかったが、おそらくは大崎会長の意向ともかけ離れたものではないだろう。亮は、吉本側の弁護士との話し合いのなかで「(吉本側の)弁護士さんが言うには、僕らが弁護士をつけたことを上層部が悲しがっていると。ファミリーだというふうに言われました」と語っていた。
ようは「ファミリーだから弁護士を付けるな」というのだが、実は大崎会長もつい最近、これに近い趣旨の発言をしている。朝日新聞の取材に対し、芸人たちと契約を結ばないのかと問われ、こう答えていた。
「結論から言うと変えるつもりはない。吉本に契約書がないと言っているのは、つまり専属実演家契約のこと。それとは別に口頭で結ぶ諾成契約というものがあり、それは民法上も問題がなく成立する。紙に書くというよりも口頭でということです。それを知ってか知らずか、タレントたちは吉本契約書がないから、と笑いをとっている」「吉本にとって芸人は、一緒に人生を共にする家族のような存在。大阪流に言うと『そんな水臭い紙の契約書なんて』ということもある」(朝日新聞DIGITAL)
家族=ファミリーだから紙の契約書なんていらない、と。言うまでもなくコンプライアンスというのは「法令遵守」という意味だということを、吉本興業という会社は知らないのだろうか。弁護士とか契約書とか法令に則った対応を避け、その方便として「家族」「ファミリー」を持ち出す。
しかし、この詭弁について亮はこう反論していた。
「本当にファミリーだと言うなら、僕が子どもだとして、子どもが本当に正しいことをしようと、悪いことを謝ろうとしているのを止めるのが親ではないと思います」
「弁護士さんを立てたことは正しいと思う。じゃないと動いてくれなかったのは事実」
長年吉本に貢献してきた宮迫を、たった数行のFAX1枚で切り捨てたことからも、吉本の言う「家族」「ファミリー」が単なるご都合主義にすぎないことは明らかだ。
今回の契約解消についても、19日発売の「フライデー」が報じた宮迫の金塊強奪犯との写真が決定打となったと思われていたが、2人の会見での説明を総合すると、「吉本の意に沿わない会見をやるから契約解消」ということのようなのだ。続報が出ているわけでもない亮は実際にそれ以外ないのだが、宮迫もだ。
こんな表現の自由を奪うようなこと、仮に紙の契約書に書いてあったとしても、公序良俗違反で無効だろうが、それにしても、吉本はまともな契約も結ばず、いったい何の法的根拠があって、芸人たちの権利を奪っているのか。コンプライアンス無視も甚だしい。