実際、維新のこうした「包括連携協定」の仕組みを利用した特定企業との結びつきは、ローソンだけではない。
たとえば大阪市のケースだ。周知の通り、大阪市は松井一郎・日本維新の会代表が率いる“維新の拠点”。大阪市は吉村市長時代の2017年11月、あの吉本興業と包括連携協定を締結している。
大阪市HPによれば、この包括連携協定によって〈吉本興業株式会社の「笑い」を通じた地域の活性化や、「わかりやすく伝える力」による市民サービスの向上など、大阪の市域の「元気」をめざした連携の取組を推進〉するという。
例の“闇営業”問題で露呈したコンプライアンス違反企業と自治体がガッシリ手を握り合っているということ自体も相当だが、それよりもっと問題なのは、この包括連携協定のなかに、維新がひっそりと“政治利用”できるような仕組みが隠されていたことだ。
実際、協定書である「大阪市と吉本興業株式会社との包括連携に関する協定書」には、連携事項の5項目としてまず「地域の活性化」「健康・福祉」「子育て・教育」「市民活動の推進」の4つが記載されているのだが、それに続いて「その他協議により必要と認められること」との事項がある。
これは、大阪市と吉本の両者が「必要」と認めさえすれば、事実上、さまざまな政治的戦略が可能となることを意味している。つまり、市が「大阪の活性化」などの名目で、いくらでも企業を利用できるのだ。
たとえば、まず想定されるのが、維新がこだわり続けている「大阪都構想」への政治利用だ。2020年に都構想を問う住民投票を控えているが、その際、吉本の芸人が“住民投票の告知”の体でテレビCMなどに登場し、「大阪を、もっとおもろく」「みんなで一緒に笑おう」などとポジティブなワードを並べて、実質的に都構想賛成へ誘導していくということは十分に考えられるだろう。