実際、これは妄想とは言い切れない。本サイトで繰り返しお伝えしてきたように、ここ数年の吉本と安倍政権の接近は、すさまじいものがあるからだ。
ワイドショーや情報番組にMCやコメンテーターとして大量の芸人を送り込み、松本人志や小籔千豊、千原せいじといった芸人たちが安倍政権擁護を繰り広げており、松本にいたっては自身の番組に安倍首相を迎え、安倍首相と会食デビューまで果たしている。
こうした政権との接近はタレント個人だけではない。2017年には、法務省のPRを吉本が会社をあげて請け負い、吉本芸人を大量投入して、法務省を紹介するというプロジェクトを立ち上げたそれ以外にも、さまざまな公的プロジェクトに吉本芸人が担ぎ出されるようになった。
そして、先日の大阪ダブル選のさなかの4月20日には、安倍首相がなんばグランド花月で吉本新喜劇に出演した。
さらに、闇営業問題で吉本が入江を解雇した今月6日には、西川きよしら吉本興業所属芸人らが首相公邸を表敬訪問し、安倍首相の前でネタを披露したことがニュース番組で大きく取り上げられた。
一方、吉本が政権から恩恵を受けていたことも判明している。NTTと共同で教育コンテンツなどを国内外に発信するプラットフォーム事業参入を発表しているが、ここに官民ファンド「クールジャパン機構」が最大100億円出資するというのだ。
本来、“コメディアン”という存在は、芸や皮肉で権力を笑い飛ばす役割を担ってになってきたはずだが、いまの吉本は逆に政権PRに手を貸しており、“安倍首相の太鼓持ち”になりさがったという感すらある。だが、背後にカジノ参入という目的があったとしたら、これらの動きも納得がいく。
いずれにしても、大崎会長が有識者懇メンバーになった以上、もし、吉本興業が本当にカジノ事業参入に名乗りをあげたら、「官僚の忖度」を誘発し、第二の加計問題に発展する可能性は十分あるだろう。
しかし、加計と違うのは、前述した通り、吉本興業という会社がマスコミにとって強大なタブーになっているということだ。闇営業問題をめぐる報道を見ていたら、仮に吉本興業がカジノに参入しても、マスコミがそのことを批判できるとはとても思えない。
吉本興業と安倍政権の接近は私たちが想像している以上に、この国に悪影響を与えることになるかもしれない。
(田部祥太)
最終更新:2019.06.26 12:46