そう考えると、今回、お笑い芸人たちが揃いも揃ってこういう発言をしたこと自体が、今のお笑いのサムい状況を物語っているといえるだろう。
お笑いというのは、本来、既存の権威や常識を疑い、大衆の価値観をひっくり返すものだ。
今回のピエール瀧事件にしても、ドラッグや麻薬という、明確な被害者もおらず、国によっては合法だったり非犯罪化も進む薬物事件の容疑者をここまで「極悪人」として吊し上げること自体が異常なことだろう。
別に、ドラッグや麻薬を肯定する必要はないが、少なくともお笑い芸人なら、むしろ「法を破ったものは厳しく糾弾されなくてはならない」というムラ社会体質の同調圧力こそを笑い飛ばすべきだ。
ところが、ワイドショー芸人たちはこの「村の掟」になんの疑問も持たず、あまつさえ同調圧力を強化するスピーカーの役割すら果たしている。
本サイトではこれまで、お笑い芸人がなぜ権力批判できないのか、ということを何度も論じてきた。既存の法律に疑問を抱くことなく薬物犯罪に目くじらを立てること、もっと危険で大きな悪を犯している権力を批判することなく応援すること。この2つは根っこでつながっているのではないか。
「お笑い芸人は薬物をやらない」と自慢する風潮に異を唱えたのが、村本ひとりだったというのは決して偶然ではないだろう。
(本田コッペ)
最終更新:2019.03.25 10:57