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安倍首相に「勤労統計」不正知りながら予算閣議決定していた可能性が…真相隠ぺい、根本厚労相に責任押し付けか

首相官邸HPより


 調査報告書の公表から、わずか2日。「毎月勤労統計」の不正調査問題で、根本匠厚労相は25日、特別監察委員会の聞き取り調査をやり直すと発表した。特別監察委員会を「第三者委員会」と位置づけていたにもかかわらず、聞き取り調査の一部が身内である厚労省職員だけでおこなわれていたなど「お手盛りの報告書」だったことが、24日おこなわれた衆参厚労委員会の閉会中審査においてあきらかになったためだ。

 この問題は、国とって重要な基幹統計で不正調査がおこなわれ、約2000万人が雇用保険や労災保険などを560億円以上も過少給付されていたという、政府による国民への重大な裏切り行為だ。だが、その不正調査のための調査で、なおも国民を欺こうとは──。もはや政府の発表に信頼のカケラも見当たらない。

 しかし、24日の厚労委員会で気になった点は、まだある。それは、「安倍首相はいつ不正調査について知ったのか」という問題だ。

 根本厚労相の説明では、昨年12月20日に「東京都が全数調査としていたところを抽出になっていた。そして、それを復元していなかった」という報告を厚労省の大西康之政策統括官から受けた。だが、根本大臣はそのとき「徹底的に調査しろ」と命じただけ。秘書官を通じて安倍首相に報告を上げたのは12月28日だった……と言うのである。

 全数調査をおこなうべきところを抽出調査しかしていなかったということは統計法違反であり、予算の組み替えも必要になってくる深刻な事態だ。普通に考えれば、すぐさま安倍首相および官邸に報告する重大案件だろう。にもかかわらず、約1週間も安倍首相に報告しなかった理由について、根本厚労相はこう述べた。

「12月27日までに……実際の、たとえば雇用保険などの我がほうのもつ統計、あるいは国民経済計算などに影響がある、つまり実際の平均賃金が変わる可能性あるということを、報告を受けました」

「12月27日までに」という曖昧な言い方もなんだかなあと思うが、とにかく、根本厚労相は影響の大きさについて知ったのがさらに1週間後だったため、安倍首相への報告が遅れたというのである。

 しかし、これは明らかにおかしい。そもそも、12月10日の段階で総務省の統計委員会は〈500人以上の事業所群で不自然な数値の上振れが見つか〉ったとして厚労省に照会(西日本新聞1月12日付)。13日には、厚労省は同委の西村清彦委員長との打ち合わせの際に東京都での抽出調査を口にし、西村委員長が「抽出調査は重大なルール違反」と指摘している。

 少なくとも昨年12月13日には問題の深刻さを厚労省は把握しており、根本大臣への報告の際にどれほどの影響が出るのかを伝えていなかったということはありえないのだ。

 どうみても、根本厚労相は20日の段階で、影響の大きさを把握していたと考えるべきだろう。そして、だとしたら、普通に考えて根本厚労相はその日のうちに安倍首相および官邸に報告しているはずだ。

 にもかかわらず、根本厚労相は安倍首相に報告したのは「28日」だったと言うのだ。12月28日は、朝日新聞が朝刊1面でこの不正調査問題をスクープした日だ。根本大臣はこんな大事な問題を朝日新聞に報じられるまで一切報告しなかったというのだろうか。

 これについて、永田町周辺では「根本大臣は安倍首相をかばうために嘘をついているのではないか」という見方が広がっている。

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