小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

安倍首相やつるの剛士も愛読宣言! 百田尚樹『日本国紀』に今度は「Yahoo!知恵袋」からの“コピペ疑惑”が浮上

日本国紀(幻冬舎)

 年を越しても相変わらず書店に山積みになっている百田尚樹の『日本国紀』(幻冬舎)。安倍首相が年末年始の読書のために〈購入した本〉としてTwitterにアップしたことはすでにお伝えしたが、吉村洋文・大阪市長やネトウヨから熱い支持を受けるタレント・つるの剛士、発行元の幻冬舎の見城徹社長と仲良しのサイバーエージェントの藤田晋社長など、安倍応援団有名人も続々と「読みます」「読んでます」とツイートしている。

 こんな状況にすっかり調子に乗ったのか、百田センセイ自身も2日にTwitterで〈保守の本は売れても左翼の本は売れない。理由は左翼は本を読まないから〉などと言いだし、〈実は日本人であれば、いろんな本を読んで知識を得ると、自然に政治思想は左翼から保守に変わる。つまり左翼の多くは読書から取り残された人たちなのである。さらにテレビばかり見るから余計に左翼になる〉と珍理論を展開した。

 いったい百田センセイやファンのネトウヨの皆さんが普段、どんな「いろんな本を読んで知識を得ている」のか気になるが、しかし、そんな我田引水的な妄想の裏で、『日本国紀』をめぐっては新たな“コピペ”疑惑が浮上した。

 同書をめぐっては、すでにWikipediaからの“コピペ”問題を検証する動きが進んでおり、百田センセイと幻冬舎が刷を重ねるごとに“サイレント修正”を施しているのは周知の通りだが、なんとあの「Yahoo!知恵袋」から“コピペ”したとの疑惑まで取り沙汰されているのだ。

 これは、ネットメディア「ハーバービジネスオンライン」で『日本国紀』の問題を指摘してきたGEISTE氏(Twitterのアカウント名)や、同書のコピペ問題などを追及しているウェブサイト「論壇net」が指摘していることだが、問題の箇所は、16世紀に日本を訪れたイエズス会の宣教師、アレッサンドロ・ヴァリニャーノに関するくだり。『日本国紀』にはこう書かれている。

〈イエズス会宣教師のアレッサンドロ・ヴァリニャーノ(信長に弥助を献上した人物)は、天正七年(一五七九)に本国イタリアに向けて、「日本人の好戦性、大軍勢、城郭、狡猾さと、ヨーロッパ各国の軍事費を比較して、日本を征服することは不可能である」と報告している。〉

 ところが、前述のGEISTE氏の指摘によると、このヴァリニャーノの引用とされる文章と極めて酷似した記述が、2014年1月21日の「Yahoo!知恵袋」の回答のなかに存在した。

〈イエズス会宣教師のヴァリニャーノは明確に「日本人の好戦性・多軍勢・城郭・狡猾さと欧州各国の軍事費をふまえて、日本は征服できない」と1579年に報告しています。〉(「Yahoo!知恵袋」より)

 『日本国紀』と比較すると「多軍勢」が「大軍勢」に、「欧州各国」が「ヨーロッパ各国」へと微妙に変えられているが、ほぼ同じ文章とみなしてよいだろう。こうしたことから、ネット上では、すわ「WikipediaだけじゃなくYahoo!知恵袋からもコピペか」と騒がれているというわけだ。

 もちろん、大元の出典が同じならば、そっくりになるのは当然なので、これだけでは“コピペ”と断定できないが、実は百田センセイもこの「Yahoo!知恵袋」の当該部分も出典を一切明示していない。

『日本国紀』がほとんど出典を明示していないという問題は、Wikipediaからのコピペ疑惑の際にも指摘されており、それ自体が致命的な欠陥だと思うが、載っていないのでしようがない。百田センセイが「Yahoo!知恵袋」とそっくりなヴァリニャーノの報告を専門書や研究論文から引用した可能性を考えて、国会図書館でそれらしき文献を片っ端から調べてみた。

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。