しかし、こうしたデマよりももっと悪質な言説も流布している。〈辺野古基地移設に反対して、常に危険に晒されている普天間の住民はどうなるの?〉などというようなスリカエだ。百田尚樹も19日のツイートで〈では私も、辺野古移設反対の署名活動をして、普天間基地の固定化を推進するか〉などとのたまっている。
だが、「普天間基地を固定しろ」って、いったいいつローラが言ったというのか。というか、新基地建設に反対している人の誰がそんなことを言っているというのだろう。事実、玉城デニー沖縄県知事も就任以来、一貫して、普天間飛行場の固定化か辺野古移設かと迫る政権に対して「新たな犠牲を押し付けようとしている」などと批判し続けてきたように、「普天間の固定化」を断じて認めていない。
そう。逆なのである。「辺野古反対なら普天間固定だ」というのは、安倍政権が言いふらしている詐術に他ならないのだ。
たとえば菅義偉官房長官は、辺野古での土砂投入が開始された今月14日の会見で、玉城知事に関して、「普天間飛行場の危険性除去をどう進めていくか、ここは極めて重要な問題だと思う。固定化は絶対に避けなければならないはずだ」と発言している。だが、これは勝手に二者択一を設定することで、それ以外の選択肢を排除するペテン以外の何ものでもない。
そもそも、仮に辺野古に新基地が建設される場合、沖縄県の試算では、完成までに少なくとも13年はかかるとされる。そして、この間はもちろん、辺野古に新基地をつくったあとも、実のところ政府は、普天間から基地をなくすと約束すらしていないのだ。
現に、米政府は、普天間返還に対して那覇空港の滑走路使用など8つの条件をつけており、昨年6月、当時の稲田朋美防衛相も「前提条件が整わなければ、(普天間)返還とはならない」と国会で答弁している。