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池松壮亮が“芸能人は社会問題を語るな”という風潮に異論! 「負の時代の中で俳優をやる意味を考えてきた」

 他にも作品賞にノミネートされていた映画で現実の社会を反映したものは多い。

 スティーブン・スピルバーグ監督作『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は、ニクソン政権による圧力に負けず、アメリカ政府が隠ぺいし続けてきたベトナム戦争に関する機密文書の公開に踏み切るワシントン・ポスト紙の戦いを描いた実録映画。スティーブン・スピルバーグ監督が敢えていまの時代に1970年代に実際に起きた出来事を映画にしたのは、当時のニクソン政権がメディアに対して行っていたことと、現在のトランプ政権がメディアに対して行っていることがほとんど同じだからである。

 また、作品賞にはノミネートされていないが、黒人としては初めてアカデミー脚本賞を受賞したジョーダン・ピールの『ゲット・アウト』は、「ボディ・スナッチャーもの」というホラー作品の定番ストーリーのなかに黒人差別問題に関するエッセンスを取り入れ、観客に新たな恐怖を喚起させる映画だった。

 また、アメリカ映画のこうした動きはもちろん、映画人たちの行動や発言にもあらわれている。そちらのほうは、映画そのものよりもより直接的だとも言える。

 第74回ゴールデン・グローブ賞にて、功労賞にあたる「セシル・B・デミル賞」を受賞したメリル・ストリープが、「私たちには、報道する力を持ち、どんな横暴に対しても厳しく批判する信念を持った記者が必要です。だからこそ、建国者たちは報道の自由を憲法で定めたのです」「ジャーナリストが前に進むことが私たちには必要だし、彼らも真実を守るために私たちの手助けを必要としているのです」といったスピーチを行って話題となったことは記憶に新しい。

 メリル・ストリープ以外にも、授賞式のスピーチの場や、ツイッターなどのSNSを通して、政治的なメッセージを発信する映画人は多い。

 たとえば、ロバート・デ・ニーロは今年6月、トニー賞の授賞式でプレゼンターとして壇上に立った際、「Fuck Trump」と発言して喝采を浴びた。これには当のトランプ大統領も反応し、ツイッターで「デ・ニーロはIQが非常に低い人物だ」と書き込む展開にもなった。

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