しかも、この発言にネット上でツッコミが相次ぐと、今度は“大学生が学徒出陣に駆り出されるまで日本国民はみんな自発的に戦争に参加していた”などと反論、さらに無知と偏見をさらけ出した上、“政府だけに悪をおしつけると民主主義は自省しない”などとお得意の上から目線で“どっちもどっち論”的説教をはじめたのである。
三浦氏は一事が万事この調子だ。神視点で“どっちもどっち”的なロジックを語り、中立的で知性があるように錯覚させているが、よく聞けば、アカデミズムに裏打ちされた高度な国際情報に精通しているどころか、中学生の教科書に載っているレベルの歴史的事実や、新聞を読めばわかる程度の権力の不正実態の知識すら無視。根拠もなく、権力や政府の政策を擁護ありきで、政権批判者を批判しているだけなのだ。マウンティングとセルフブランディングによって“知的なアカデミズムの住人”“中立的な立場で政治状況を俯瞰して検証できる学者”というポジションを獲得しているが、実際にやっていることはトンデモ歴史観や差別思想、フェイクを連発する安倍応援団そのもの。そんな程度の学者でしかないのだ。
しかし、テレビで擁護を展開してくれる三浦氏の存在こそ、安倍首相にとっては最大の武器であることは間違いない。
現に、三浦氏は“フェイク対象”“極右論壇のお手盛り賞”とも揶揄されているフジサンケイグループ主催の2017年「正論大賞」で、「新風賞」をあの小川榮太郎氏とともに受賞。まともな学者なら恥の上塗りでしかない賞だが、三浦氏は贈呈式に嬉々として登場し、「(北朝鮮危機の)Xデーについても、専門家はそれに伴うリスクやコストもしっかり情報発信していくべきだ」などと「スリーパー・セル」発言を正当化した。
そして、安倍首相はこの贈呈式に寄せたビデオメッセージのなかで「既存メディアの論調などに決して流されることなく、持ち前の冷静な分析力とわかりやすい語り口で、評論活動を通じておられる三浦さんには、初の女性受賞者としても、今後、さらなるご活躍をおおいに期待しております」とエールを送ったのだ。
学者として底が割れていても無関係。“反知性”の旗手である安倍首相に見初められ、ついに政府からお墨付きをもらった三浦氏は、これからさらなる政権擁護の主張を繰り出していくことだろう。
(編集部)
最終更新:2018.09.02 11:44