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過労死遺族に暴言、謝罪…ブラック経営者・渡邉美樹を働き方改革公聴会の質問者にした自民党の異常

 8つの法案を束ねた同法案だが、その柱のひとつが裁量労働制の拡大だった。実際に働いた時間ではなく、「みなし労働時間」で定額賃金を支払う制度だ。たとえば「1日の労働時間は8時間とみなす」と合意すれば、労働時間が6時間でも12時間以上働いても、8時間分の賃金が支払われる。「仕事が早く終われば帰社」などというが、いまだに長時間労働が美徳とされる日本の企業風土にあって、これは机上の空論だろう。実際には経営者サイドにとって都合のいい制度で、残業代を支払うこともなく定額で何時間も働かせることができる。しかも年収要件がない。まさに“残業代ゼロ法案”“過労死推進法”と言われる所以だ。

 裁量労働制拡大については、例のデータ改ざん問題で先送りとなったが、もうひとつの柱である高度プロフェッショナル制度の導入は、年収1075万円以上の一部専門職を労働時間規制の対象から外すというもの。休日は確保されるものの、いくら深夜まで残業しても賃金は支払われず、しかも年収要件がどんどん下げられ、また拡大運用の危険性も指摘されている。

 さらに「働き方改革法案」では同一労働同一賃金の導入と、残業時間の上限規制があるが、その容認残業時間というのは月に100時間未満! これは「過労死ライン」とされる1カ月の残業時間100時間と同じだ。

 こんなトンデモ法案を、「みんながハッピーになる」と、しかも被害者遺族の目の前でいけしゃあしゃあと言い放った渡邉氏。自社の社員を過労死に追い込んだ反省など微塵も感じられないが、それこそが渡邉氏の本質なのだろう。

 あくまでブラック企業の経営者目線であり、労働者は働かせるだけ働かせる。そんなドス黒い意志ばかりがだだ漏れなった今回の公聴会での質問。労働者への共感どころか、人の命に対しても鈍感なブラック企業の創業者が自民党の国会議員として鎮座しているのが、安倍政権の実態なのだ。

 それにしても、過労死の問題で渡邉氏を質問に立たせた自民党の人選センスには、あらためて唖然とする。こんな渡邉議員の発言や自民党の態度を許し、「働き方改革法案」を成立させてしまえば、日本の“ブラック国家”化はいよいよ止められないところまで行ってしまうだろう。

最終更新:2018.03.17 06:36

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