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下町ボブスレー問題でジャマイカバッシング! 背景に右派メディアと安倍応援団の「日本スゴイ」の虚妄

 また、下町ボブスレーは安倍首相に近い右派系教科書にも紹介されている。安倍応援団のひとつである「日本教育再生機構」元理事が監修者に名を連ね、安倍首相の写真を掲載していたことで問題になった「教育出版」の小学校道徳教科書に、下町ボブスレーのソリに乗り込んで上機嫌に笑う安倍首相の姿が掲載されたのだ。

 さらに、16年7月には下町ボブスレープロジェクトのメンバーが官邸に招かれて面会。安倍首相はそこで「工場は小さくとも、技術をもって日本のものづくりの底力を見せつけていただいた。困難を乗り越え、ジャマイカチームの採用を勝ち取ったことはすばらしい。日本の技術、力を世界に発信する象徴になる」(ウェブサイト「産経ニュース」より)と語ったという。

 ようするに下町ボブスレーは、下町どころか、政府も一体となってのかなり政治的なプロジェクトだったのだ。実際、右派メディアや安倍応援団、ネトウヨたちは「日本スゴイ」のひとつとして、この下町ボブスレーを賞賛し、煽ってきた。

 ところが、蓋を開けてみると、一番肝心の“速さ”や“信頼性”、つまり純粋に「ものづくり」の問題で、下町ボブスレーはオリンピック直前、ラトビアという小国の製品より低い評価を受け、その製品に取って代わられそうな状況になってしまったわけだ。

 そのこと自体については、ボブスレーに取り組んだ歴史の浅さやさまざまな偶然も影響しており、別段、恥とは思わない。だが、問題はその後の対応だ。

 性能の差を受け入れず、大会前の大事な時期にも関わらずジャマイカチームに訴訟までちらつかせた「下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会」や、「日本スゴイ」のちっぽけなプライドを守らんがため、ものづくりでの敗北を見て見ぬ振りをし、陰謀論まで駆使してジャマイカバッシングに走るメディアやネットをみていると、それ自体が最大の“恥さらし”としか思えないのである。

 そして、それは、日本が先の戦争で犯した侵略行為や戦争犯罪を直視せず、「あの戦争は正しかった」「GHQによる自虐史観だ」とがなりたてる歴史修正主義者の姿勢とも重なってみえる。

「日本の誇り」なる虚妄へのこだわりはけっして尊敬を集めない。逆に国際社会からの軽蔑を生むだけだということを、私たちはもっと自覚すべきだろう。

最終更新:2018.02.13 12:45

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