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日馬富士暴行事件が白鵬・モンゴル力士バッシングへ! 相撲ファンとメディアを蝕む日本礼賛とヘイト

 しかし、これらの話はほんとうなのだろうか。実は本サイトでも複数の角界関係者や相撲担当記者、ジャーナリストに取材してみたのだが、これらの報道は裏付けが取れないどころか、むしろガセや謀略のにおいが色濃く漂うものだった。

 そもそも、白鵬が仕掛けた計画的なリンチだという情報からしておかしい。日馬富士はじめ参加していたモンゴル力士や周辺の証言を検証すると、白鵬が会に誘ったのは事実だが、誘われたのは当日。しかも、鳥取城北高校の監督が相撲界に影響力をもつ人物だったため、この機会に白鵬に紹介してもらうというのが趣旨だった。

 だいたい、白鵬は鳥取城北高校監督と公私両面で非常に親しくしている。その監督が仕切る高校のOB会の席でリンチなどしたら、自分も世話になっている有力者に迷惑をかけ、顔を潰すことになる。白鵬がそんな計画を立てるなんてありえないだろう。

 実際、事件を取材している社会部記者によると、警察の調べでも日馬富士が暴行に及んだのは貴ノ岩がスマホをいじっていたのがきっかけで、白鵬がそれを止めに入ったのは間違いないらしい。これで、なぜ、白鵬が計画したリンチということになるのかさっぱりわからない。

 八百長についてもそうだ。本サイトが取材したベテラン相撲記者は相撲協会と距離を置いている人物だが、それでもモンゴル会が八百長を組織的に行っているというのは考えづらい、という。

「大相撲に八百長がないとは言いませんが、それはモンゴルにかぎったことではないし、ましてや組織的に行うなんてありえない。旭鷲山と朝青龍のケンカを見ていればわかるように、モンゴル人力士もこれだけ人数が増えれば、決して一枚岩ではなく、モンゴル力士全体で八百長をするのは不可能です。もちろん、仲のいい数人で星の回し合いをすることはあるでしょうが、それは日本人力士も同じですよ」

「週刊新潮」のいう「白鵬 灰色の十番勝負」にしても、言いがかりに近いものだ。新潮はこのうち7番について、日馬富士、照ノ富士、鶴竜の降格や昇進がかかった場面でゆずって負けてあげたとし、残りの3番については、白鵬が日馬富士に負ければ稀勢の里と優勝決定戦に持ち込まれるケースで、日馬富士が勝ちをゆずり、白鵬が優勝したという疑惑を書いている。しかし、ほかの場所ではこれにあてはまらないケースも多数あり、疑惑に該当するものだけをクローズアップする確証バイアスにすぎない。

 また、仮に白鵬と日馬富士が八百長していたとしても、こうした場面での八百長、無気力相撲は日本人同士でも昔からよくいわれてきたことだ。

 だいたい、それを言うなら、稀勢の里が横綱に昇進するとき、日本人横綱をむりやりつくるために「2場所連続優勝かそれに準ずる成績」という条件をゆるくした特別扱いのほうが、よっぽど問題なのではないか。

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