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星野源「Family Song」が示す“新しい家族”とは? 「家族がいない人はどうしたら?」に星野が出した答え

 そこまでではなくても、無意識のうちに“ふつうの家族”“家族=いいもの”“家族がいるのは当たり前”という固定観念をもっている人は少なくないだろう。実際、家族をテーマにした歌の多くは当然のようにそういう価値観をベースにしているものが多い。

 星野は、そういう家族の歌を好きな一方で、ずっと小さな違和感があったと語る。

「その家族をテーマにした楽曲で、たとえば幸せを感じるようなこととか、すごい素敵な歌のなかで、たとえばミュージックビデオとかも家族の風景とか、たとえば親と子とか、そういうものをすごく幸せそうに描いていたりとかするものを見るたびに、家族がいない人はどうしたらいいんだろうってすごく毎回思っていたんですよ。そういう人たちはどう聞けばいいんだろうって」(7月18日放送『星野源のオールナイトニッポン』)

 “家族”がいない人、“家族”からあぶれてしまった人。家族のすばらしさを歌った歌から、無意識のうちに排除されてしまっている存在。家族をテーマにした歌をつくると決めたとき、星野は“家族”の外にいる人の存在を考えたのだという。

「メッセージとしてすごく素敵なことを歌っていたりしていて、それはすごく素敵なことじゃないですか。で、素敵なことなのに、そこからあぶれてしまう人がいるっていうのを感じないようにしていたときがあって。でも、やっぱりずっと感じているから、それを自分だったらどうするんだろうっていうのはぼんやり思っていたことがあって」(7月18日放送『星野源のオールナイトニッポン』)

 星野源は、「Family Song」のなかで「family」を定義していない。それが古かろうと新しかろうと、家族のかたちをいったん定義すれば、そこからあぶれてしまう人が必ず存在する。実際、「Family Song」の歌詞は、いわゆる家族像のようなものは描いていない。古い家族の姿も、新しい家族の姿も描いていない。父とか母とか家族役割を示すような言葉も一切出てこない。むしろ主人公はひとりでいるような印象すらある。もしかしたら、タイトルに「family」と入っていなければ家族の歌とは思わないかもしれない。では星野が考えた「family」とは何なのか。

 星野は「Family Song」のなかで、こう繰り返し歌う。

〈次のあなたへの
 橋になりますように
 遠い場所もつながっているよ〉

 誰かと誰かがつながること。そのつながりは、血のつながりとも性愛とも限らない。近くにいるとも限らない。何とどんなふうにつながってもいい。何者をも排除しない、自由で多様なつながりへの讃歌。それがいま現在多くの人に受け入れられているということは、とても勇気づけられる出来事である。

最終更新:2017.09.13 10:20

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