星野源「Family Song」(ビクターエンタテインメント)
星野源のニューシングル「Family Song」が爆発的なヒットを記録している。初週の売上は昨年リリースされた「恋」の10.2万枚を大きく更新し、19.1万枚を記録。この売上により「Family Song」は、初週の成績だけで今年度のソロアーティストによるシングル売上としては最高の数字を達成したという。
この「Family Song」、ど直球なタイトルから、え?星野源がいかにも保守的な「家族を大事に」や「家族で寄り添って」的な歌を?といぶかしく思っていたら、そこはやはり星野源。そんなステレオタイプな歌ではなく、むしろそうした旧来的な家族像からは遠く離れたものだった。
たとえば星野は8月18日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日)に出演して「Family Song」を歌ったが、そのトークコーナーでこんなふうに語っている。
「楽曲は60年代末から70年代始めぐらいのソウルミュージックをモチーフにしてるんですけど、歌詞を昔っていうよりも、いまの家族にしたいなって思って色々考えてたんですけど、僕、なんとなく家族って漠然と血のつながりだと思ってたんですけど、よく考えたら夫婦って血つながってないなって思って、だから血のつながりとか関係ないなって思って、たとえば友だちとか仕事仲間もファミリーって言ったりもするじゃないですか。だからそういう広い意味でこれからの時代に向けて、たとえば両親が同性同士っていうのもこれからどんどん増えてくると思うんですよね。そういう家族も含めた、懐の大きい曲みたいなものをつくりたいなって思って」
ゴールデンの全国放送の番組で「両親が同性同士っていうのもこれからどんどん増えてくると思うんですよね」と踏み込みながら、家族のあり方の多様性について語ってみせた姿勢は大きな話題を呼んだ。家族とは何か。血のつながりなのか? 両親は男女でなければならないのか? 「Family Song」は、家族に関するこうした数々の固定観念を根本から問い直すことから生まれたのだ。
星野は常々「僕、二番のAが一番言いたいこと言えるんです」(「ROCKIN’ ON JAPAN」2017年9月号/ロッキング・オン)と語り、楽曲のなかで語りたいことのエッセンスが最も濃密に詰め込まれているのは2番のAメロにあてられている歌詞だと語るが、「Family Song」の2番のAメロではこのように歌われている。
〈出会いに意味などないけれど
血の色 形も違うけれど
いつまでも側にいることが
できたらいいだろうな〉