小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

浅田真央引退会見で一切触れられなかったNGワード! なぜ真央ちゃんはメディアタブーとなったのか?

●ソチ五輪“伝説のフリー”にもマスコミがふれなかったことが

 しかも、タブー化は、私生活だけでなく、競技そのものに関する報道にも及んでいた。

 そのひとつが、ソチ五輪での“伝説のフリー”だろう。ショートプログラムでトリプルアクセルに果敢に挑戦するも失敗するなどミスが重なり、真央はまさかの16位スタート。しかし、翌日のフリーでは、トリプルアクセルはもちろんそのほかのジャンプもすべて成功し大逆転で、6位まで巻き返す。その演技は女子ではまだ誰も成功したことのない「6種8トリプル」。当時の報道では「6種8トリプルの偉業を見事成功!」という見出しが踊り、 “伝説”の演技と大々的に讃えられた。

 しかし、実際のソチでの真央のフリーでは、トリプルルッツに踏み切り違反(エラー)、トリプルフリップ+トリプルループの連続ジャンプの2つ目のトリプルループが回転不足、ダブルアクセル+トリプルトゥループの連続ジャンプの2つ目のトリプルトゥループも回転不足と判定されている。つまり、「6種8トリプル」でなく、「4種5トリプル」に成功したにすぎなかった。

 ところが、マスコミは「成功」をさりげなく「着氷」と言い換えつつ、そのあとも「伝説のフリー」と言い続けた。今回の引退報道でも、いちばん心に残る演技として、この“伝説のフリー”が繰り返し流され、相変わらず「6種8トリプルの偉業」と謳っているメディアも少なくなかった。

 しかも、こうした傾向はソチ五輪後の休養から復帰して以降、どんどんエスカレートしていった。結果の芳しくなかった真央に対して、メディアは「彼女が追い求めているのは結果ではない」「自分のスケートを追求している」などと先回りし、演技の良し悪しや結果については語ることが許されなくなった。

 しかし、実際の真央はシンプルな勝ち負けにこだわる選手だ。ミスがあっても勝てば無邪気によろこび、負ければライバルの演技を讃えることなくただただ悔しがる。むしろ、自身でも語っているように、「気が強い」「負けず嫌い」というのも、真央の素顔のひとつだ。にもかかわらず、「本当にいい子」「みんなから愛される」以外のことを語ることが許されない空気になってしまった。

 つまり、こうしたタブー化のきわめつきとして現れたのが、今回の引退会見だったのである。

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。