ところが、この大物アイドルの当て逃げ事件へのマスコミの反応は異様だった。一応、一部スポーツ紙は事件を取り上げたが、それは「バイクにぶつけて倒した認識はなかった」という小泉の言い分や、小泉が新聞販売店を訪れて謝罪したことなどを中心にしたもの。かなり好意的な、そして腰が引けたように報じただけだったのだ。
また、ワイドショーはもちろんのこと、週刊誌さえも小泉のこの事件にはほぼ沈黙も守った。それどころか、この一件を報じた「女性自身」(光文社)は「本当にバイクと接触したことは気づかなかったんです」という小泉の釈明インタビューを掲載、“故意ではない”という主張を後押ししたほどだ。
警察も動いている事件だというのに、異様なマスコミの対応──。その理由は明白だろう。小泉と言えば、その所属事務所は“芸能界のドン”と呼ばれる周防郁雄社長率いるバーニングプロダクションであり、なかでも小泉は周防社長のいちばんのお気に入りだからだ。
「当時、バーニングはキョンキョンの当て逃げに相当ナーバスになっていたようです。とくに早朝の事故であること、さらに“女友だちの家で過ごした帰り”ということで、今回のノンスタ井上のケース同様、飲酒運転だったのではないかと疑われていました。そのためバーニングは“B担”と言われる御用記者や、スポーツ紙、テレビ局に“報じることはまかりならん”と強い通達を出したのです」(スポーツ紙関係者)
その効果は絶大だった。なにしろ小泉はこの事件が発覚して以降も、芸能活動を自粛することなど一切なかったからだ。しかも、小泉に起訴猶予処分が下ったのは事故発生から約2カ月後の3月15日だったが、その5日前の同月10 日、倉本聰脚本のドラマ『優しい時間』(フジテレビ)の第9話に小泉はゲスト出演し、カットされることもなく普通に放送された。前述したように、ノンスタ井上は刑事処分が出るまでは活動自粛と謹慎を続けるというが、大きな違いだ。
さらに、こうした事故でのイメージ悪化をもっとも嫌うはずのテレビCMも、何の影響も受けなかった。当時、小泉は1年の契約金が1億円と言われた大手化粧品会社・資生堂のCMに出ていたが、事故後も継続されたのだ。