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能年玲奈主演のアニメを町山智浩ら映画通がこぞって大絶賛! でもマスコミは能年の元事務所の圧力で一切無視

 そうして高い評価を得ることになった『この世界の片隅に』だが、前述の通り、在京キー局のテレビではまともなプロモーションをされていない(中国地方のローカル局の番組にはいくつか出演している)。

「キネマ旬報」(キネマ旬報社)、「CUT」(ロッキング・オン)「アニメージュ」(徳間書店)、「エンタミクス」(KADOKAWA)、「月刊ENTAME」(徳間書店)、「EX大衆」(双葉社)、「CREA」(文藝春秋)、「SPUR」(集英社)、「リンネル」(宝島社)、「SPA!」(扶桑社)、「ビッグコミックスペリオール」(小学館)、「婦人公論」(中央公論新社)など、雑誌メディアでは多くの媒体が『この世界の片隅に』を取り上げ、のんや片渕監督が登場してインタビューを受けているが、それと比較すると在京キー局のテレビによる意図的な無視はあまりにも異様だ。

「週刊文春」16年11月17日号(文藝春秋)のコラム連載で町山智浩は、映画のなかでこれだけの演技を見せた彼女に対して、芸能プロやメディアが行ったあまりにも理不尽な仕打ちを取り上げ、怒りをあらわにしている。

〈テレビでは不倫や大麻が魔女狩りのように叩かれる一方、芸能プロの奴隷的契約や従わない者を「干す」こと、賞を金で売買することには触れない。明らかに労働法や独占禁止法に反するのに!
(中略)韓国でも、アイドル・グループ東方神起から抜けたメンバーが結成したグループJYJが5年以上メディアから干され、名前も使えない状況が続いた。だが、去年、国会で、報復のためのメディア出演妨害を禁じる法案が満場一致で通過した。事務所との奴隷的契約も独占禁止法違反で違法とされた。発議した議員の娘はJYJのファンで、彼女の訴えが議員を動かした。政治家や法律は弱者を救うためにある。日本の奴隷タレントはいつ解放されるのか? 救う弁護士や政治家はいないの?〉

 ただ、『この世界の片隅に』でここまで高い評価を受けると、さすがに無視し続けることは難しくなるのではないだろうか。芸能プロの思惑で干されたものの、ネットで再ブレイクしたことで紅白歌合戦の舞台まで舞い戻った小林幸子の例をあげるまでもなく、確固たる人気を武器にすれば元の舞台に返り咲くことは可能だ。

 小規模な館数で始まった『この世界の片隅に』は今後上映館が増える予定で、また、海外への配給も決まっている。大手芸能プロの思惑に乗っかって彼女に冷や飯を食べさせたメディアがいつ手の平を返すか、今後も状況を見守っていきたい。
(新田 樹)

最終更新:2017.11.12 02:10

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