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東京五輪賄賂工作を仕掛けた電通の“キーマン”が語ったこととは? FIFA汚職にも電通と元幹部が関与か

 BT社とタン氏を紹介したのが電通であることは、竹田恒和JOC会長(招致委員会理事長)も「株式会社電通さんにその実績を確認しましたところ、(BT社は)十分に業務ができる、実績があるということを伺い、事務局で判断したという報告を受けています」と5月16日の国会で証言している。

 ところが、このBT社の代表、タン氏はそもそも、国際陸上競技連盟の商標権の配分などを行う電通の関連会社「アスレチック・マネージメント&サービシズ」(AMS)のコンサルタントでもあった。

 このAMSは、電通がアディダスと共同出資でつくっていたマーケティング会社「インターナショナル・スポーツ・アンド・レジャー」(以下ISL)破綻に伴って、ISL幹部が横滑りして設立された会社だ。

 ISLは当時、FIFA(国際サッカー連盟)など、さまざまなスポーツ利権に食い込み、主なスポーツイベントのマーケティング権を一手に担っていた。そして、このISLの中心にいたのが高橋氏だった。

 昨年5月、スイス司法当局がFIFA幹部の賄賂・汚職摘発を行ったが、事件の全容を暴いた『FIFA腐敗の全内幕』(アンドリュー・ジェニングス/文藝春秋)でもISL、電通、そして高橋氏の名前が出てくる。

 もともとFIFA幹部の賄賂事件は、ISLの経営破綻がきっかけだった。そこから巨額の不正送金が浮上し、ISL幹部も起訴されるのだが、『FIFA腐敗の全内幕』は、その裁判レポートの中でこう書いている。

〈その金は世界最大規模の広告代理店である日本の電通からのものだった。その電通はワールドカップのもろもろの権利をISLから取得して、日本のメディアに売っていた〉
〈ISLの経営が2000年後半に傾いたとき、電通は東から西へと金を送った。数日後、その金の一部がISLのオフショアアカウントから、同じルートで東側へキックバックされた。債権者は自分たちの金の返済を求めたが、400万スイスフランは、香港にあるとされるギルマーク・ホールディングスの口座にすでに送られていた。ジークヴァルト裁判官は、ほかに多くの情報を握っている様子で、ISLの被告たちに近づき、一人一人にギルマークについて何を知っているか尋ねたが、だれも答えようとしなかった〉
〈10日後、チューリッヒのやる気満々のレポーター、ジャン・フランソワ・タンダは──この業界で信頼できる情報源を通じ──金が電通の専務高橋治之に渡った事実を暴きだした。タンダも私も電通にコメントを求めたが、東京の巨大広告代理店は、質問に答えてくれなかった〉

 キックバック疑惑まで指摘されていたというのは驚きだが、それはさておいても、高橋氏と電通、そしてAMS の事実上の前身であるISLの疑惑を知れば知るほど、五輪招致委、国際陸連、BT社、AMSを繋ぐことのできる存在は、高橋氏以外に考えられないことがわかってくる。

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