しかし、こうした発言は、かなり意識的に行われているフシがある。星野は以前から自分が「サブカル」「オシャレ」「草食系男子」というカテゴリーで括られることを嫌っていたし、そういう「サブカル」「オシャレ」を攻撃してきた。
前述の『星野源雑談集1』でも、「草食系男子」と呼ばれると〈『殺す!』って怒ってたんです(笑)〉と告白してたことあるし、これは「an・an」(マガジンハウス)13年6月5日号のインタビューでは、「うがったものの見方をすることで“自分はわかってる”という選民意識を持つ、いわゆる“こじらせ系”女子が最近増えていますが…」と問いかけられると、「すげー嫌い(苦笑)」とサブカル女子たちをバッサリ切り捨てている。
つまり、「下ネタ」「ゲス発言」も、オシャレな音楽の撒き餌に誘われてやってくる、自称「わかってる」なサブカル人間たちを蹴散らすために、あえて「男の子キャラ」を強調してみせている可能性が高い。
まあ、こういうところが星野源の頭の良さなんだろうな、と感心していたところ、ふと思い出したのが、昨年後半に出た二階堂ふみとの交際報道。二階堂ふみといえば、セックス・ピストルズを愛聴し、ヴィヴィアン・ウエストウッドの洋服を好み、泉鏡花や室生犀星を愛読する……彼が「すげー嫌い」と切り捨てた「文化系」「サブカル」のど真ん中じゃないか。そのためか、この交際報道にはサブカル女子たちから「こじらせ系が嫌いとは何だったのか」「サブカル女子でも、若くてかわいければ、OKってこと?」と悲鳴にも似たブーイングが上がった。
表向きはイメージの固定化を避けるためにサブカル攻撃をしていても、やっぱり恋愛となると、無意識が表出しちゃうんだろうか。
いや、でも、二階堂って元カレの俳優・新井浩文もかなりの下ネタ好きだったし、二階堂自身も自分のことをヘンタイと公言したり、下ネタもいけるクチ。「サブカルには、コアマガジン系のサブカルと、マガジンハウス系のサブカルの2種類ある」という吉田豪の分類に照らせば、二階堂ふみは「コアマガジン系サブカル」。たぶん、源ちゃんはオシャレ系がダメなだけで、コアマガジン系はありなんだろう、ということで納得しておこう。
(新田 樹)
最終更新:2016.01.08 02:48