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予備自衛官を雇ったら法人税減税! 自衛隊志願者やっぱり激減で、安倍政権がいよいよ経済的徴兵制を具体化

 こうしたアメリカの先行例は、日本でも十分、通用する話だろう。というのも、現在の日本では〈昼間の四年制大学に通う学生のうち、奨学金を受けている割合は五二・五%〉にも上り、〈卒業後に背負う借金は、大学生で平均約三〇〇万円、大学院まで進学すると多いケースで一〇〇〇万円にも達する〉からだ。さらに前述したように、アベノミクスによって非正規雇用の割合は4割と増えており、〈奨学金返還滞納者の一八%が「無職」〉という現実がある。そこに授業料の値上げが追い打ちをかければ、アメリカ同様、貧困層の学生が大学進学と引き換えに徴兵を選択することは想像に難しくない。

 しかも、この「経済的徴兵制」は、すでに具体的に日本で検討されはじめていることでもある。たとえば、〈(大学)卒業後に自衛隊に入隊して「衛生・技術系幹部」になる意志を持つ医学・理工系の学生あるいは大学院生を対象に、月額五万四〇〇〇円の奨学金を支給する〉「貸費学生」という制度があるが、これは現在、毎年十数名程度しか採用されていない。しかし、防衛省ではこれを拡充することを検討項目としている。

 さらに問題なのは、“自衛隊と企業の提携”による徴兵だ。2014年に開かれた文科省の有識者会議にて、前原金一・経済同友会専務理事(当時)は「(職に就けず奨学金返済を延滞している若者を)防衛省でインターンシップさせたらどうか」と発言したが、この発言について中谷元防衛相は今年8月26日に安保特別委で辰巳孝太郎・共産党議員の質問を受けて、〈(前原氏の発言以前に)防衛省の方から前原氏に対して自衛隊への「インターンシップ・プログラム」を提案した〉のだと答弁。しかし、このとき明らかになった驚愕の事実は、〈防衛省が提案したのは、奨学金返済を延滞している無職の若者ではなく、企業の新規採用者を「実習生」として一任期(二年間)限定で受け入れるプログラムであった〉ということ。つまり、〈その企業に就職した人は業務命令として自衛隊に派遣され、二年間その業務に当たらなければならな〉くなる、という話だったわけだ。

 このとき明らかになった防衛省の内部文書によると、このプログラムによる企業側のメリットは〈自衛隊で鍛えられた自衛隊製“体育会系”人材を毎年、一定数確保することが可能〉であること、防衛省側のメリットは〈厳しい募集環境の中、「援護」不要の若くて有為な人材を毎年一定数確保できる〉ことだという。

 本書の著者である布施氏は〈この構想は目新しいものではなく、防衛省・自衛隊が以前から検討してきたもの〉だとし、07年にも防衛省は同じ構想を検討していたことや、遡ると1970年代の段階から〈自衛隊と民間企業の「人事交流構想」〉があったことを明らかにしているが、問題は当の内部文書に〈企業側との関係が進めば、将来的には予備自(衛官)としての活用も視野〉と書かれていることだろう。今回もち上がった予備自衛官雇用による法人税控除は、このプログラムの実現を後押しするものになりえる。すなわち防衛省は、企業と連携した徴兵システムの構築を、いまこそ具体的に現実化させようとしているのではないだろうか。

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