杉田は長渕から受けたメッセージをこう解釈する。
〈ならば、必要なのは、そんな家族的な親密な凝縮力と、日本という祖国のナショナリズム的な間で揺れ動きながら、しかもその時にこそ唯一無二の「個人」として自分の足で立とうとすることであり、祭りの熱狂が終った後においてこそ、俺たち一人一人が生きる具体的な場所(トポス)で、非暴力な絶対平和の道を進まんと努力し続けることではないのか〉
このメッセージは、オールナイトライヴに参加した長渕ファンだけでなく、安保法制という横暴に反対しながら、それを止めることができずに、今、無力感を感じている我々国民にも強く響くものだろう。
その過剰さゆえについつい「面白ネタ」として消費されるか、「カルト的」と敬遠されるかどちらかになってしまいがちな長渕のメッセージだが、時には、その言葉の意味を色眼鏡なしで受け止めてみることも必要かもしれない。
(新田 樹)
最終更新:2015.11.02 07:02