当時は金持ちの子どもはいいおかずを、貧しい子どもは貧しい弁当を、さらに貧しいと弁当すら持ってこないという状況。それでは子どもが可哀想であり、教育的意味からも、皆が同じ物を食べることが学校給食の使命とされたという。
こうして学校給食制度ができて80年余、その間敗戦を経てそして高度経済成長期、バブルと日本経済は成長を続け“総中流化”といわれる時代もあった。しかし現在、これまで経験しなかった新たな貧困、格差が浸透し、固定化されつつある。
そんな時代だからこそ、本来の給食制度の精神に立ち返ることが、子どもの権利を守ること、また少子化対策や格差是正のひとつの鍵になるのではないか。
本書でも学校給食についてこう提言している。
「学校給食を普遍的な現物給付制度として位置づけることが、『子どもの食のセーフティネット』を確保する視点から求められている」
給食停止や法的手段だけでは、決して未納問題は解決されない。国や行政には未納問題を格差問題、子どもの健全な教育問題、少子化対策としてとらえ、根本的な対策をとることを促したい。
(伊勢崎馨)
最終更新:2015.10.16 07:14