小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

『ヨルタモリ』宮沢りえの眼前で…篠山紀信が『Santa Fe』未発表ヌードをテレビ公開! 児童ポルノ法への挑戦か

 篠山はそんな状況をものともせず、乳首丸出しの写真をカメラの前に差し出し、宮沢りえ本人と、「他の写真とテイストが合っていないような気がしたから(写真集から)外れたんだろうけど、すごく良いね」などと、撮影の思い出や写真論とを語ったのだ。一方、りえも恥ずかしがることも嫌がることもまったくなく、服を着ている写真のほうを見て「こっちのほうがエロくないですか」などと写真談義に応じていた。もっともタモリは、いまスタジオで行なわれていることの危険性を感じ取ったのか、「良いですねぇ……」と言葉少なにつぶやくくらいしかしなかったが。

 それにしても、このパフォーマンスはやはり篠山紀信ならでは、と言っていいだろう。篠山は自分の写真表現のためなら、恐れることなく世間のタブーを破り続けてきたカメラマンだ。ヘアヌード解禁への道を切り拓いたのも彼だし、10年には青山霊園など人目につく場所で女性のヌードを撮影したとして、公然わいせつ罪で罰金刑も受けている。

 あえてこの時期に『Santa Fe』の未公開写真をテレビに出したのは、むしろ、児童ポルノ法の単純所持禁止へのアンチテーゼなのかもしれない。

 児童ポルノ法改正案は審議されているときから、その写真がわいせつ目的につくられたのか、アートを目的としてつくられたのか、個々のケースについて一切勘案しない画一的な議論のあり方が問題視されていた。

 番組中でも、「この『Santa Fe』って写真集はエロくないんだよ。エロを目的に撮ってないんだから」と語っていた篠山紀信。今回の未公開写真公開は、芸術を理解しようともせず、お役所仕事で民衆の自由を制限しようとする権力に対しての皮肉をこめたパフォーマンスとも受け止められる。

 しかし、驚かされるのは、『ヨルタモリ』である。繰り返すが、いまのテレビは深夜番組であろうと、バストトップを映すことを一切自粛している。しかも、『Santa Fe』は児童ポルノの対象かどうかが議論になっている作品だ。そんな写真を、常に長いものに巻かれ続けているテレビ局が放映するとは……。

 この『ヨルタモリ』の数時間前まで、フジテレビは『FNS27時間テレビ めちゃ×2ピンチってるッ!~本気になれなきゃテレビじゃないじゃ~ん!! ~』を放送していたが、もしかしてこれがフジが本気になった証しなのか。

 まあ、実際は大御所・篠山紀信に何も言えなかった制作スタッフが局のコンプライアンスをぶっちぎって放送してしまった、というのがオチかもしれないが、いずれにしても、勇気ある行動に踏み切った篠山紀信と『ヨルタモリ』の制作スタッフに今後、処分がくだることのないよう祈るばかりである。
(田中 教)

最終更新:2015.07.28 11:31

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。