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求人情報の「初任給」は嘘だらけ! ブラック企業の賃金水増し表示の手口とは…

 しかし、飛びつくのは危険だ。ブラック企業のワナである賃金水増し表示がされているからだ。実は「初任給」表示には深夜手当や残業代を含めることができ、賃金の水増し表示が可能なのだ──。このカラクリを明らかにしたのは、労働問題に詳しい弁護士の手による『ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか? ナベテル弁護士が教える残業代のカラクリ』(渡辺輝人/旬報社)だ。

 同書によれば、たとえば、ワタミの初任給(賃金月額)「24万2326円」の内訳は、基礎賃金「16万円」、固定残業代(深夜手当や残業代の一部)「8万2326円」。つまり、本当の賃金は「16万円」と、厚生労働省による大学卒の平均的な初任給(19万8千円)にも遠く及ばない、やはり“ブラック”な賃金なのだ。

 ワタミの初任給は「賃金に加えて、残業や深夜早朝の労働を前提にして、労働基準法で定められた時間外割増賃金、深夜早朝割増賃金があらかじめ織り込まれた」もので、「ワタミの賃金はいわば水増しされたものなのです。このような賃金水増しの求人広告が必ずしも禁止されていないのが問題」(同書より)なのだ。

 しかも、固定残業代「8万2326円」の中身を読み解くと、ワタミのブラックさがより見えてくる。

「ワタミでは、賃金体系からして、一日八時間労働に加えて、一日二時間~二時間一五分程度(略)の法定時間外労働があらかじめ予定され、かつ、一日の労働時間のうち平均して五時間五一分~六時間二六分程度(略)は深夜早朝労働であることが予定されているのです。深夜早朝の時間帯は二二時から五時までの七時間なので、早くとも午前四時頃までは仕事をして欲しい、ということになります。
 そして、これらの残業を行なったとしても残業代は固定残業代で支払い済みになるため、月収二四万二三二六円以外には一円の残業代も支払われません。(略)いかに二〇代の若者でも、なかなかハードな職場なのではないでしょうか」(同書より)

 なお、固定残業代が支払われていたとしても、それに対応する時間を超える時間外労働がある場合、会社は残業代の計算をして別途支給しなければならないのだが、現実にはあたかも残業時間にかかわらず残業代の金額が固定される「払い切りの給与」のように運用されるケースが横行しているが、これらは違法だ。

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