しかし、そう考えると、つくづく不可解なのが、どうしてレプロはそこまでして能年のイメージを損ね、商品価値を下げたいのか、ということだ。事務所からの独立を考えているとはいえ、現段階ではまだレプロに所属していて、しばらくの間稼いでくれる存在である。能年の希望通りの仕事を与えて、やる気を引き出せば、まだ関係修復もありうるような気がするのだが……。しかし、前出のレプロの内情に詳しい関係者はこう語る。
「H社長のキャラクターとしかいいようがないですね。とにかく感情的な人で、一度キレたら手がつけられない。素材を見ぬく目はもっているんですが、自分の感情や思いつきを押し付けすぎるので、その後の作品選びや戦略で失敗しているケースが多い。計算ができないんですよ。能年についても、もう、商売とかどうとかじゃなくて、子供の喧嘩みたいになっている。そういう意味じゃ、芸能プロデューサーとしては失格かもしれませんね」
実際、事務所の戦略ミスやマネジメントの強引さによって、能年は彼女のいうように20歳、そして21歳を期待以上に輝けないまま終えてしまった。しかも、今、レプロはその存在を完全にツブシにかかっている。つまらない意地とメンツで希有な才能の女優生命を断ってしまうことが、日本の映画やテレビドラマにどれだけ大きな損失を与えるかが、こういう連中にはおそらく理解できないのだろう。
(時田章広)
最終更新:2015.06.01 12:14