そして、事実を強引に歪曲してこう続けるのだ。
〈基地を人質にして、本土から金をせびり取ることが「自立的発展」につながるんでしょうか。沖縄の自立をじゃましているのは、こういうふうにいつまでも戦争の古い話を持ち出して本土にたかる人々と、それに甘える県民です。本土のマスコミも「沖縄に寄り添う」などといって、彼らを甘やかしてきました〉
〈こういうただ乗りは、財政の豊かなときは多少はゆるされましたが、これからは無理です。沖縄県が辺野古移転を拒否するのは自由ですが、振興予算はゼロです。お金をもらう約束をした人が、その約束をやぶったらお金はもらえない。よい子のみなさんでもわかる、簡単な理屈ですね〉
どうも、池田は沖縄振興予算の意味をまったく理解してないらしい。沖縄振興特別措置法を読んでもわかるように、振興予算は米軍基地の大半を押し付けられている沖縄の「特殊な諸事情」全体を配慮して策定されたのであって、辺野古移転を認めるか否かというのは何の関係もない。「辺野古移転を拒否したら振興予算はゼロ」などというのであれば、その法的根拠を示すべきだろう。
また、池田はまるで沖縄が金のために基地を引き受けてきたかのように印象づけているが、沖縄は自ら手を挙げて基地建設を誘致したのではなく、政府に基地を押しつけられてきたに過ぎない。
その金額にしても、沖縄県に対する国庫支出金と地方交付税の合計額は全国17位。とびぬけて沖縄だけが優遇されているわけではない。さらに、戦後通算で見ると、国から沖縄への一人当たりの財政援助額は6割にすぎないのだ。
むしろ、閣議決定や総理大臣談話で「沖縄の負担軽減」を約束しながら、それを反古にしてきたのは日本政府のほうではないか。
とにかく、こういう感じでネトウヨ並みの無根拠な印象やデマに基づく沖縄批判が識者の口からも飛び出すようになっているのだ。しかも、由々しきことにこうしたデマに基づく沖縄攻撃は、どんどん増殖している。