そして、炭水化物を摂る上で最も警戒しなければならない存在、それが糖である。糖は〈炭水化物という生体分子の一種であって同じ性質を〉持ち、〈血糖をもっとも急上昇させる〉。つまり完全なるデブの元だ。
糖はどのようなプロセスで我々を太らせるのかといえば、〈パンや米、じゃがいも、ビール、フルーツジュースのような液体状の炭水化物も〉含め、〈これら全てがすばやく消化されるのは、血液にグルコース(糖の一種)をたくさん流し込み、インスリンを急上昇させるため、そしてインスリンは過剰なカロリーを脂肪として貯めこんでしまうため〉なのだ。
特にやっかいなのが、グルコースとフルクトース(糖の一種)を結合させた、〈グラニュー糖で作ったもの〉だという。
〈結合された糖質のうちフルクトースは私たちの血糖にすぐに大きく作用するわけではない。ところが、一緒にとったグルコースがフルクトースに対し、インスリン分泌を促進し、脂肪細胞をもっと蓄積するように働きかけてしまう、糖質を取れば取るほど、それを脂肪に変えるように体に指示するのだ〉
ちなみに憎きビール腹も、このプロセスを踏んで生まれるという。
〈人間が食事として必要な炭水化物はほぼゼロ〉と、パールマター氏は力説する。小・中学生時代、家庭科の授業で習った「人間に必要な3大栄養素は、炭水化物・脂質・タンパク質」という“常識”は、もはや前時代的なものなのだろうか?
さて、日本では、パンブームの一方で「低炭水化物ダイエット」も流行中だが、こちらは、「炭水化物を完全に抜くのはNG」という方針である。同書の登場により、またしても我々を悩ませる説が増えてしまっただけのような気が……。
(羽屋川ふみ)
最終更新:2017.12.19 10:18