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芸能エキストラ、軽作業、警備員…怪しい求人は損しかしない?

「清掃業務」にも落とし穴がある。「掃除するだけなら、それほど難しいスキルも要求されないため、すぐに作業できるアルバイトではないのか」と、応募してみたところ「申し訳ありませんが、男性の方のご応募はお断りしています」と軒並み門前払いをくらった。

「ここでようやく分かったのは、求人に“トイレ清掃”とある場合、男性は女性トイレの清掃をすることができないため、基本的に応募はNGという意味なのだった」(本書より)

 これは募集要項に明記されていない場合が多いため、知らなければ応募の電話をいくつもかけることになり、時間の無駄である。

 さらに著者は、トイレ清掃のないマンション清掃員のアルバイトに応募したが、マンションでゴミを見つけた場合の対処法を尋ねると、清掃会社の男性は「基本的にゴミは出ません。もし出たとしても、葉っぱかタバコの吸い殻くらいですね」と“ゴミは出ない”と答えたという。しかしそう言っている矢先、エントランス付近に紙くずとタバコの吸い殻が落ちていたのを見つけると「あっ!」という顔をしながらそれを拾い上げ、「まあ、たまにはこんなゴミが出ることもあります。そんなときは……ここだけの話ですけど、万が一、ゴミが出たら、道路の溝にでも捨てちゃってください」と言いながら、手に持っていたゴミを溝にポイッと捨てたという。しかも、著者はその後、不採用になったらしい。

 求人情報媒体に当たり前のように掲載されているこうした仕事には色々と落とし穴があるが、もっともアブナイのは「芸能エキストラ」だ。バブル時代ならいざ知らず、現在ではエキストラのギャラは5時間で3000〜4000円が相場だという。決して割の良い仕事とはいえないが、著者がある求人サイトを見ていると「幅広い年齢層のモデル・タレントを募集!」として、出演1回につき日給1万円がもらえると記載しているA社の求人を発見した。サイトを通じて応募し、ようやく面接にこぎつける。

 面接会場となった都内のビルには20人以上の男女が集まっていた。そして「面接開始時間になると、やたらにスタイルのいい黒服女性がやってきて、業務の説明を始める。事務所をぐるりと見回すと、スタッフは全員女性。みんなすらりとした美人ぞろいである。ん?この光景はどこかで見た事がある……。そうだ!これはキャッチセールスで連れて行かれた絵画販売会場にいる女性たちにそっくりではないか!」と不安ばかりが募る状況に。書類選考通過の書類にも「実力に応じてギャラはアップし、最高で90万円もらえる」と書いてあったという。この時代にそんな簡単に、しかも未経験だったのに、90万円もらえるバイトが存在するのだろうか?

 会場で女性のひとりが仕事の説明をはじめ「みなさまにお支払いできるギャラは最低でも10万〜30万円以上になります」と断言した。また、雑誌での出演でも数10万円が入るとも説明。テレビ番組出演歴があり、ライターとして稼働する著者は「よほどのメインを張らない限り、こんな金額を手にするなんて、ありえないはずだ。話が誇張されすぎていて、胡散臭さがプンプン匂う」と警戒心を募らせてゆく。

 そして面接では各人が数分間、女性たちに質問を受けるという形で行われたが「これまで、芸能関係の経験は?」と必ず聞かれ、3分間ほどで終了していった。面接の声が筒抜けのためそれを聞いていた著者は「ここに来るほとんどの人は今まで芸能関係に無縁な人たちばかり」とさらに疑念を抱く。いよいよ著者の面接になり「多少ですが、テレビなどで演技つきの役をやった事がありますね」と過去の芸能活動について正直に答えると、女性の顔が明らかにこわばったという。面接は誰よりも短い2分で終わり、帰りに会社案内を渡された。それに目を通すと……。

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