どの道むしかい。(自民党2014衆院選特設サイトより)
自民党の圧勝に終わった衆院選。安倍首相は、してやったりでご機嫌かと思いきや、当日の選挙特番でキレまくっていた。
既報のとおり公示前に自民党がテレビ局に圧力をかけた影響か、選挙期間中の選挙報道の時間が、2年前の総選挙の3分の1になるという体たらく。早くから自民党圧勝が予測されたなか、選挙特番も期待できるのは、“池上無双”のテレ東か、古舘のテレ朝くらいのものだろうと思われていた。
解散発表当日、テレビ各局のニュース番組にハシゴ出演した安倍首相は、テレビ朝日の『報道ステーション』にだけは出演しなかった。本サイトで以前報じたが、これは、批判的なスタンスの古舘に対し、テレ朝上層部があまり厳しい質問をしないよう釘を刺したため、古舘が安倍の出演を拒否したからだといわれている。そんな経緯から、古舘が安倍と一戦交えるのではないか、そんな予想があった。
しかし、テレビ朝日の『選挙ステーション』は、古舘の口封じシフトを敷いていた。番組中に選挙とはなんの関係もないフィギュアスケートグランプリファイナル関連の映像を何度も挿入するのだ。この日のテレ朝は、選挙特番の直前まで、早朝に行われ羽生結弦が見事優勝した男子シングルのフリーを録画放送。特番と同時間帯に行われていたグランプリファイナルのエキシビションは特番後の11時半から録画放映する予定になっていた。ところが、選挙特番中にも、さっき放送したばかりの羽生のフリー演技に、エキシビションの生中継、羽生のインタビュー、羽生のシーズンふりかえり、とやたらフィギュアを入れてくるのだ。安倍首相インタビューの直後には、試合すら地上波放送していないペアのエキシビションの生中継を入れるという、徹底した口封じぶりだった。羽生選手の登場ぶりは「羽生くん当確」と錯覚するほどで、ついには古舘も「またフィギュアですか!?」と驚きの声をあげていた。
そして、意外なことに安倍と全面対決となったのは、身内のはずの日テレ『ZERO×選挙』のキャスター・村尾信尚だった。
といっても、村尾がとくだん辛辣な質問を浴びせたわけではない。まず、アベノミクスに関連して女性の活用について、具体的な数字を示していただきたいと村尾が訊いたのに対し、安倍首相はイラッとしながら「できもしない数字をあげるのは、民主党のやったこと!」と関係ない民主党ディスで返す。さらに、村尾が実質賃金が下がっていることを指摘すると、突如キレ始め「実質賃金が減っていることに意味はない」「ボーナスは増えている」などと強弁。あげく、スタジオからの音声を届けるイヤホンを外してしまい、とうとうと自説をまくし立て始め、ムッとした村尾が「安倍さん、安倍さん!」と呼びかけても、無視し続けたのである。