『うさこちゃんときゃらめる』(福音館書店)
サブカル古書店「まんだらけ」での万引き問題が議論を呼んでいる。25万円相当の「鉄人28号」のブリキ製人形を万引きされた「まんだらけ」が、期日までに返却に来なければ犯人と思われる人物の顔写真を公開すると警告。報道陣も大勢詰めかけたためか、結局期日までにフィギュアが返却されることはなく、また警視庁からの要請により顔写真の公開も中止となった。
いまだ議論が冷めやらぬ今回の万引き事件だが、実は意外なあのコにも万引きの過去があるのをご存知だろうか。オランダ生まれのうさぎキャラ・ミッフィーこと、うさこちゃん。ミッフィーといえば、口と鼻を表す×がチャームポイントで、絵本やアニメ、さまざまなコラボグッズも販売されるなど、世界中で愛されているキャラクターだ。あの、かわいいミッフィーが実は万引き事件を起こしていたのだ。かわいいだけでなく、おとなしくていいコキャラだけに、にわかには信じ難いかもしれない。
問題の万引き事件は、『うさこちゃんときゃらめる』(ディック・ブルーナ 訳・松岡享子/福音館書店)で描かれている。
ある日、お母さんと一緒にクッキーを買いに出かけたうさこちゃん。お母さんがお買い物をしているあいだ、お店の片隅でキャラメルを見つける。赤、青、黄色、緑……と、いろんな紙に包まれたキャラメルを、「まあ、なんて、おいしそう!」「ほしいなあ」と思う。そこでやめておくか、お母さんに「ほしい」と言えたらよかったのだが……。
〈それから、うさこちゃんは、とても、
とても わるいことをしました。
だれも みていないとき、きゃらめるを
こっそり ぽけっとに いれたのです……〉
うさこちゃんは母親や店員の目を盗み、キャラメルを万引きしてしまったのだ。
でも、うさこちゃんがほしかったキャラメルを手に入れて浮かれていたかというと、そうではない。その日はベッドに入っても眠れず、いけないことをしてしまったという後悔の念にさいなまれるのである。