――どんな修正が?
「う〜ん。修正というか、長渕さんの発言部分は全面的に書き直してきた。インタビュー自体が意味がないくらいに(笑)。おそらく僕の書いた内容は彼が求めるテイストと違ったんでしょう。長渕イズムと僕の書いたものにズレがあったのかと思います」
――記事もかなりピリピリしていた感じでしたが、実際の現場はもっとハードだった?
「いや、逆です。掲載されたインタビューはピリピリしているように読めますが、実際の現場は和やかだった。和やかなインタビューをピリピリした感じに直してきたという。編集的には長渕さんの“お茶目”で“かわいい部分”を出したかったのですが、それは長渕的でなかったんでしょうね」
――じゃあ、吉田さんが長渕に説教されていたりするのも……。
「『君なんかも、本気でやんなくっちゃダメだよ』『インタビューも本気でかかってこないとね(笑)』というクダリも、実際のインタビューでは話されていないですね」
――原稿を直されて、吉田さんは不満じゃなかったんですか。
「全然。僕的には原稿の直しも含め、満足しています。すごい面白かったしね。撮影スタジオに自宅からトレーニングマシーンを持ち込んで、僕も大ファンだった妻の志穂美悦子さんと娘さんまで同席していて、大きな犬もいて。しかも撮影アドバイザーとしてなぜかモデルの冨永愛さんが来ている。そんな中でトレーニングをしながら、『今日の腹筋はハリがないから撮影できるレベルじゃない!』と話す長渕さんを、関係者が30分も見守る。そんな光景はなかなか見れるものじゃない。テンションあがりましたよ」
――でも、後だしじゃんけん的な感じもしますが。
「長渕さんは『さんまのまんま』に出演した時に、ここをカットしてここを使えというために、編集室にまで乗り込んだことがあったらしいですから、インタビューを直すのも当然ということなんでしょう。何でも『死ぬ気』で『本気』なんです。しかも僕の発言部分は一切手をいれてこなかった。そのへんのルールもきちんと守っていた。原稿の直しにしても彼は『死ぬ気』でやったんでしょう。そういう意味でもすべて満足です」
和やかなインタビューを逆に怖くしていたというのはびっくりだが、たしかに、吉田が語っているように、その取材の経緯はまさに長渕らしい。たかだか見開き2ページのインタビューにここまでこだわる本気ぶりは、ある意味「殺す!」「死ぬ気」などの言葉が踊っている「an・an」の原稿以上にコワいといってもいいかもしれない。
しかも、吉田からは意外なエピソードも聞いた。先に「an・an」の記事に「(笑)」がやたら出てくると書いたが、実はこれもすべて長渕が書き込んできたものらしいのだ。長渕は“カッコ笑い”が大好きだった。これまた、なんかコワい。
(伊勢崎馨)
最終更新:2014.08.03 11:19