コロナ対策のための国からの「臨時交付金」も「空飛ぶクルマ」に使用
まったくふざけるな、という話だろう。たとえば吉村知事は、新型コロナ対策そっちのけで「都構想」に邁進した結果、人口比で東京を上回る全国最悪レベルの感染拡大を招いたが、そうした最中におこなわれた2020年11月の会見で、コロナ対応の説明は後回しにして「空飛ぶクルマ」構想を大々的に打ち出し、こんな大言壮語を吐いていたからだ。
「大阪・関西万博では、空飛ぶクルマがどんどん大阪湾上を行き交うような風景をぜひつくっていきたい」
「万博のときには、自由にたくさんの空飛ぶクルマが行き来する」
「2023年に事業としてスタートすることを目標に、2025年の大阪・関西万博のときにはもう多くの方が万博会場に、この空飛ぶクルマでアクセスできるような、そういった環境を整えたい」
この会見自体、新型コロナ対応に不安と不満が噴出している状況を糊塗するために「空飛ぶクルマ」を打ち出したようにしか見えなかったが、吉村知事は「イソジン騒動」や「大阪産ワクチン」のときと同様、「空飛ぶクルマ」問題でも、さんざん大風呂敷を広げておいて、暗雲が立ち込めると過去の言動などなかったもののように振る舞い、マスコミ批判にスライドさせたのである。
しかも、問題は吉村知事の開き直り、逆ギレだけにとどまらない。というのも、この万博における「空飛ぶクルマ」構想実現のために、本来はコロナ対策に使われるべき予算が横流しされたからだ。
「しんぶん赤旗」2022年9月22日付記事によると、コロナ対策のために国が交付した2021年度分の「地方創生臨時交付金」のうち、大阪府は約1358万円を「空飛ぶクルマ」に支出。全国最多のコロナ死亡者を出すほどの惨事を引き起こすなか、コロナ対策ではなく「空飛ぶクルマ」に国からの交付金を注ぎ込んでいたのだ。
いや、それだけではない。大阪万博の会場建設費を500億円増額すると公表されたのと同じ20日、経産省は大阪万博で「空飛ぶクルマ」の運航に向けて〈機体開発や量産に必要な「型式証明」の取得に向けた飛行試験などを後押し〉すべく、開発事業者2社に計134億円を補助すると発表したのだ(読売新聞20日付)。
物価上昇で庶民が厳しい生活を迫られているにもかかわらず、吉村知事と維新によって政治利用されてきた一過性のイベントのために、さらなる負担増を強いられる。こんな理不尽がまかり通っていいはずがないだろう。
(編集部)
最終更新:2023.10.23 08:01