万博の目玉に掲げた「空飛ぶクルマ」量産も頓挫するも吉村知事は逆ギレ
経済効果だのイノベーションだのとさんざん「夢」を語っては大風呂敷を広げ、見通しの甘さによって発生した負担に国民が声をあげると、国民を反対勢力に仕立て上げて「叩かれても負けない」という歪んだ物語をつくり出す……。これは橋下徹氏や安倍晋三元首相そっくりのやり口だが、あまりに下劣であり、無責任としか言いようがないだろう。
だが、吉村知事のこうした態度が露呈したのは、会場建設費の問題だけではない。「空飛ぶクルマ」の問題も同様だ。
「空飛ぶクルマ」は吉村知事が大阪万博の目玉に掲げてきたもので、大阪万博では一般客を乗せた「商用運航」を目指すと宣言。今年8月に開催されたファッションイベント「KANSAI COLLECTION」でも、制服コスプレで登場した吉村知事がこのように喧伝していた。
「大阪のベイエリアを、普通の人が自転車に乗るみたいに、空飛ぶ車に乗ってぐるぐる回っているのを、万博でやります。だからぜひ、若い世代の人も空飛ぶ車に乗ってもらいたい」
ところが、今月中旬になって、商用運航に向けた機体量産が万博開幕に間に合わない見通しであることが発覚。万博で「空飛ぶクルマ」を運航する事業者として発表されていたJAL、ANA、丸紅、スカイドライブの4社のうち、丸紅は商用運航を断念し操縦士のみが乗る「デモ飛行」を目標にすると説明とし、ほか3事業者も万博での商用運航は「検討中」であることが判明。機体数もANAで数機、JALも1機の予定であることが報道されたのだ。ようは、実態は商用運航の目処も輸送力の確保も不透明な“絵に書いた餅”にすぎなかったというわけだ。
だが、酷かったのが、こうした「空飛ぶクルマ」をめぐる報道に対する吉村知事の開き直り、“逆ギレ”ぶりだ。
まず、吉村知事は13日、「飛べば十分だ」などと開き直り、「(空飛ぶクルマの)数とか回数とか決めているわけではない。地下鉄のようにすごく飛び交うようなイメージにはならない」と発言。17日には、旧ツイッターにこう投稿した。
〈万博で空飛ぶクルマを諦めたんですかと今日聞かれたが、一切諦めてません。共同が「量産」断念とか記事を出し、朝日もコメント切り抜きで乗っかってたけど、政府も大阪も、もともと事業者に万博時の「量産」を求めてない。目標は万博会内と兵庫や大阪等に複数のポートを設置し、一般の人を乗せてニ地点間飛行、移動手段とし商用運航すること。空飛ぶクルマは将来必ず空の移動革命になる。最後まで絶対に諦めない。〉
つまり、吉村知事は、つい最近まで「万博では普通の人が自転車に乗るみたいに空飛ぶクルマに乗ってぐるぐる回る」とPRしていたというのに、「地下鉄のようにすごく飛び交うようなイメージにはならない」と言い出し、挙げ句、マスコミ批判にすりかえたのである。