“政界のビッグモーター”維新 市民にまともな説明なく街路樹も公園樹も切りまくり
実際、吉村知事の「街路樹は公共物」発言に対しては、SNS上でツッコミが殺到した。
〈ビッグモーターの除草剤の件を吉村知事が批判していますけど、それただのブーメランですから。〉
〈市民が疑問を呈しようが問答無用で街路樹を切るくせに、ビッグモーターの件では正義面してパフォーマンスに利用。下衆。〉
〈「街路樹は公共物」だと吉村知事が名言ツイートをされましたが、その公共物を維新市政がどう扱ってきたか、ビッグモーターの比ではないひどさを大阪の方は知るべきだと思います。〉
〈あんたらなんの問題もない街路樹切りまくってましたよね??〉
しかも、こうした反応に対し、横山英幸・大阪市長は〈除草剤まくのと樹木管理は別次元だよ。老朽化等管理が必要な樹木は伐採後原則植え替え。住民の安全とゆとりある都市空間創出に努めます〉と投稿したのだが、これも詭弁だ。
横山市長は大阪市の伐採を「樹木管理」と言い張るが、「サンデー毎日」(毎日新聞出版)3月12日号では、伐採データを市に情報公開請求した谷口るり子・甲南大学教授に取材。市が公開した伐採理由には〈「落ち葉で滑る」「木の間隔が密だから」というものや、「伐採するための道を確保するために伐採する」という笑い話のようなもの〉まであったといい、谷口教授は「大阪市は『公園樹木のヒマラヤスギは根が浅くて倒れやすい』との理由で、弱っていなくても全部伐採する方針です。しかし、他の自治体でそんなことは聞かない」と指摘している。
しかも、毎日新聞2月16日付記事によると、大阪市は「安全対策事業」として2018年度から2020年度のあいだにすでに約9000本を撤去しているのだが、植え替えされたのは6割。その上、公園樹と街路樹にかんする市の維持管理費は2012年以降、9億5000万円前後でほとんど変わっていない一方、人件費上昇に伴う作業費の高騰などによって管理できる本数が2012年度の約12万6000本から2020年度には約6万2000本にまで激減。つまり、予算が抑えられているばかりに木の管理が難しくなり、そのために伐採を進めているのではないかという疑念が生じているのだ。
そもそも、大阪市は橋下徹氏が市長を務めていた2014年、大阪城公園などの管理・運営をおこなう指定管理者に電通や読売テレビなどからなる共同事業体を選定。2015年度から大阪城公園の再開発がおこなわれたが、2017年度までのあいだに、劇場など施設建設を目的にして安全性に問題のないケヤキやクスなどの高木を計1174本も伐採。移植されたのは2016年から2019年でわずか230本だった(「AERA」6月12日号/朝日新聞出版)。このとき、〈劇場ができる場所にある樹木がどうなるかは、市民に知らされていなかった〉という。
大阪城公園の再開発について、吉村知事も市長時代の2016年、〈来年、さらに大阪城公園の景色を変えていきます〉〈大阪城のポテンシャルを最大限引き出します〉などとPRしていたが、街路樹の伐採を含め、ようは市民に計画や経緯を周知徹底したり議論することもすっ飛ばし、「公共物」たる樹木を大量伐採しているのが実態なのだ。