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コロナ第8波で三浦瑠麗、たむらけんじが行政責任をネグって医療機関を攻撃し非難殺到! 2人とも維新の大阪市長候補選定に関与

橋下徹「コロナの重症化率や致死率は季節性インフルエンザと変わらない」発言は詐術だらけのデタラメ

 まず、「コロナの重症化率や致死率は季節性インフルエンザと変わらない、あるいはそれ以下」という主張が酷い。

 たしかに、11月11日実施の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」では、分科会メンバーであり経済学者である大竹文雄・大阪大学特任教授と小林慶一郎・慶應義塾大学教授が、財務省の財政制度等審議会財政制度分科会の資料に基づくかたちで〈第7波の新型コロナウイルス感染症は、重症化率でも致死率でも季節性インフルエンザよりも低いか同程度になっている〉と意見書で主張している。行動制限を設けることに反対している経済学者から出された意見だという点がミソだが、じつは、同日の分科会で示された厚労省コロナ対策アドバイザリーボードによる「直近の感染状況の評価等」では、〈オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低いことが示されているが、現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられる〉とまとめられているのだ。

 いや、そもそも重症化率や致死率を持ち出すこと自体、意味がない。というのも、第7波では重症化しないまま死亡に至るケースが多く、さらに第7波は新規感染者数も過去最大となった。つまり、感染者に対する死亡者の割合である致死率が低くなるのは当然だからだ。それに率が多少低くとも母数である感染者数が大きくなれば、死亡者の実数は大きくなる。

 実際、11月9日のコロナ対策アドバイザリーボードでは、「東京都では第7波の重症化率や致死率が過去の波とくらべて低かった」というデータを東京都が示し、「第7波、死亡率0.09% 都調査、20年12月以降で最低」(毎日新聞11日付)などと報じられたが、そのデータの元となった死亡者数を見ると、第7波における東京都のコロナ死亡者数は、第3波(1051人)や第4波(200人)、第5波(837人)、第6波(1203人)よりも多い1342人となっている。あくまでこれは東京都における数字であり、全国や年単位で考えれば、「毎年3000人前後」とされている季節性インフルエンザの死亡者数より多くなるのは明白だろう。

 橋下氏や三浦氏は、あたかも「恐れるに足りない」と印象付けようとするが、第7波で過去最多の死亡者数となったことは事実であり、コロナ後遺症の問題も含め、到底「季節性インフルエンザ並み」とは言えない状況にあるのだ。

 さらに、橋下氏が言う「コロナに対応できる医療機関が絞られているためにすぐに医療逼迫する」「全医療機関で対応しろ」という主張も、まるで現実を無視している。この主張は「5類引き下げ派」が繰り広げているものだが、院内感染を防ぐためのゾーニングや動線確保というハードルがあること、コロナ以外の病気に対応する必要があることなどを踏まえれば、「全医療機関で対応しろ」と号令を出してすぐにできるものではない。一方、すでに東京都では発熱外来が危機的状況にあるとも伝えられている。この状況を打開するには、大規模な発熱外来センターの設置など行政による一刻も早い対応が必要だ。にもかかわらず、三浦氏は「医療側の努力が足りない」などと言い、医療機関に罪をすべて押し付けたのである。あまりにも非道としか言いようがないだろう。

 言わずもがな、コロナで全国ワーストの死者を出している大阪は第7波でも全国最悪の状況に陥ったが、もとを正せば2008年に橋下氏が大阪府知事に就任して以降、維新政治によって医療福祉を切り捨ててきたことに問題がある。維新による府・市政は公的医療や保健所を削減したほか、医師・看護師などの病院職員、そして保健所など衛生行政にかかわる職員を大幅に削減してきた。こうした医療福祉の削減のツケが回ってきたこと、さらに橋下氏の直系後継者である吉村洋文知事の「やってる感」だけのコロナ対応によって、最悪の状況が生み出されてしまったのだ。

 逆に言えば、福祉切り捨ての維新的な新自由主義から転換を図り、公的医療の充実に踏み切らなければ、今後も大阪を筆頭に全国で何度も同じ悲劇を繰り返していくことになる。

 だが、橋下氏には反省がまったくないどころか、三浦氏と一緒になってコロナを矮小化し、医療逼迫の原因・責任を行政の問題ではなく、医療機関に転嫁しているのである。

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