夏野剛「僕があるのも森元首相のおかげ!」と持ち上げたことも 森喜朗・前組織委会長の関係は学生時代から…
このように、東京五輪をめぐって下劣な態度をあらわにしてきた夏野氏。しかも、さらに指摘しておきたいのは、夏野氏が今回の汚職事件の本丸のひとりでもある森喜朗・前組織委会長と“ベタベタの関係”にあることだ。
森前会長といえば、贈賄容疑で逮捕されたAOKIホールディングスの青木拡憲・前会長が「現金200万円を手渡した」と供述していると報じられ、受託収賄罪あるいは収賄罪の疑いが浮上。さらに8日発売の「週刊文春」(文藝春秋)では、東京五輪のスポンサーとして立候補していた講談社を、過去にスキャンダルを報じられたという“私怨”によって排除したと森氏自身が豪語していたことを報じている。
森氏はKADOKAWAがスポンサーに選定されたのは講談社を排除したあとだと説明しているが、記事のなかで元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「森氏に金銭が渡っていなくても、高橋容疑者がKADOKAWAから賄賂を受け取っていることを分かった上で、講談社にスポンサー契約を辞退するよう迫っていた場合、収賄の共犯になる可能性があります。恣意的な思惑で辞退を強く迫った場合は、業務妨害罪に抵触しかねません」と指摘。また森氏が高橋容疑者とともに角川歴彦KADOKAWA会長と面会していたことも判明している。KADOKAWAルートの汚職における森氏の関与は定かではないが、少なくともスポンサー選定で森氏が絶大な力を持っていたことが裏付けられたかたちだ。
そして、この“東京五輪のドン”である森氏と、夏野氏は昵懇の間柄にある。夏野氏は参与就任直前に朝日新聞の連載で森氏と対談。森氏が「無報酬。これで、組織委員会として5千億円の仕事をする」と得意げに語ると、夏野氏は「いい仕事をするには無報酬はいけない」などと口にしている。また、2018年のインタビューにおいても森氏は、マスコット選びについて「面白いアイデアを言ってくれたのが夏野剛先生」とわざわざ名前を挙げて称賛していた。
だが、ふたりの間柄はたんなる「組織委会長と参与」というようなものではない。じつは、夏野氏は早稲田大学在学中、森氏の事務所に通っていたというのだ。
実際、2012年におこなわれた「ニコニコ超パーティー」では、最終日のゲストとして森氏が登場し、「あのね、みなさんね、夏野さんはね、学生時代は私の事務所にいつもいたんです。本当だよ」「ちゃんと就職できるようになったのは私のおかげなんですから」と発言。森氏は学生時代の夏野氏の写真を持参してその場で見せびらかすほどだったのだが、対して夏野氏は、こう呼応したのだ。
「ITがあるのも森元首相のおかげ! ニコ動があるのも森元首相のおかげ! 僕があるのも森元首相のおかげ!」
「僕があるのは森元首相のおかげ!」──もちろん、会場の観客を盛り上げるための煽り文句の意味合いもあったのだろうが、ようするに夏野氏は森氏の“茶坊主”的存在だったというわけだ。
東京五輪のスポンサー選定で絶対的発言力を持っていた森前会長、そして森氏を“育ての親”に持ち、市民を足蹴にしてまで東京五輪の旗振り役を担ってきた夏野氏。たとえ夏野氏がKADOKAWAの汚職事件に直接関与していなかったとしても、その責任は重大だ。
しかも、五輪開催に伴う羽田新飛行ルート運用反対派住民に対する前述の「B-2爆撃機で絨毯爆撃」「全員コロせ」発言。こんな人物がメディア企業のトップに立ち、メディアでニュースの論評をしていいのか。
汚職事件が発覚しても他人ヅラを決め込む夏野氏には、今回の事件を機に、ぜひ一刻も早くメディアの世界から姿を消していただきたいものである。
(編集部)
最終更新:2022.09.09 12:01