疑惑まみれの「甘利明幹事長」は安倍、麻生、岸田の密約で総裁選前から決まっていた
つまり、甘利氏はいまのいままでこの大スキャンダルについて、国民が納得のゆく説明をおこなっていない。にもかかわらず、今回、岸田氏は甘利氏を幹事長に据えたのである。
もちろん、この人事は安倍前首相と麻生財務相を含めた「密室談合」による既定路線だ。
甘利氏といえば、今回の総裁選では同じ麻生派の河野太郎氏が出馬に意欲を示していたにもかかわらず、いち早く岸田支持を表明し、選対顧問を務めるなど岸田陣営の旗頭となってきた。そのため、甘利氏への幹事長ポストは総裁選の論功行賞のように見えるが、実際には総裁選以前から「甘利幹事長」は決定していた。
今年6月に岸田氏は総裁選での足場固めのために派閥横断の「新たな資本主義を創る議員連盟」を発足させて会長となったが、この設立総会には安倍、麻生、甘利の3Aが揃い踏み。岸田氏としては3Aの威光にあやかるつもりが、実態は二階俊博幹事長に対抗する3Aが幅を利かせるかたちに。この段階から「幹事長ポストは甘利」という取り決めが交わされていたのだろう。
安倍前首相と麻生財務相にとっては、岸田氏に「目の上のたんこぶ」だった二階氏を幹事長から引きずり下ろさせ、自民党を安倍・麻生支配の完全体にするという長年の悲願を果たした。つまり、岸田氏は安倍・麻生のご機嫌取りのために甘利氏の大スキャンダルに目を瞑り幹事長に据えるのである。
それでなくても自民党は、河井克行・元法相と河井案里・前参院議員が有罪となった2019年参院選における大規模買収事件で党本部から提供した1億5000万円の使途や巨額を投入した理由について、独自調査もおこなわずに幕引きしようとしている。岸田氏は昨晩、会見で「必要であるならば説明をする」などと明らかに調査に後ろ向きな姿勢を見せたが、自分自身の口利き問題でさえ逃げ回っている甘利氏が、どう考えても安倍前首相が関与しているこの問題について幹事長としてメスを入れるようなことをするはずがない。
いや、そればかりか、甘利氏が選挙対策費の決裁権者である幹事長になれば、税金を原資とする巨額の政党交付金を使い、またも安倍前首相の意向のままに、同じような選挙買収事件を繰り返す可能性さえある。