天皇政治利用のやり口は、親分・安倍晋三にそっくり! 安倍一派なら何を言っても許される言論状況
高市氏は天皇について〈国民に敬愛され、世界に向けても日本国民統合の象徴としての天皇陛下が、万世一系の権威と品格を持って存在して下さることの意義は非常に大きい〉(2006年9月6日付ブログ記事)などと述べてきたが、「国事行為は天皇にとって迷惑」というのは天皇を貶める発言でもあり、くわえて選挙戦においてその名を持ち出して投票を呼びかけるというのは悪質極まりない政治利用、選挙利用にほかならない。右翼こそ怒るべき問題だろう。
だが、これこそが現在の極右政治家の本性だと言うべきであり、実際、高市氏のバックにいる安倍晋三・元首相も、天皇の露骨な政治利用を数々おこなってきた。
その最たる例が、2013年4月28日に政府主催でおこなわれた「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」だ。4月28日は1952年にサンフランシスコ講和条約が発効し、沖縄以外の本土がアメリカの占領から独立した日だが、第二次安倍政権ではこの日を「主権回復の日」とし、政府主催で初めて式典を開いて、天皇と皇后を出席させた(挨拶はなし)。この式典の開催は自民党が野党時代から公約にかかげるなど、安倍首相の強いこだわりがあって実現したものだった。
そして、式典当日、菅義偉官房長官が閉式の辞を述べ、天皇・皇后が退席しようとしたとき、“事件”が起きる。突然、会場の出席者らが両手を挙げて「天皇陛下万歳!」と叫んだのだ。安倍首相らも壇上でこれに続き、高らかに「天皇陛下万歳」を三唱。天皇と皇后は、足を止め、会場をちらりと見やり、わずかに会釈してから会場を去った。表情は固まったままだった。
じつは天皇・皇后は事前段階から周辺にこの式典に対し拒絶感を吐露していたと言われ、さらに〈陛下は、式典への出席を求める政府側の事前説明に対し、「その当時、沖縄の主権はまだ回復されていません」と指摘されていた〉という(毎日新聞2017年12月24日付)。これは、サンフランシスコ講和条約で本土から切り捨てられた沖縄を無視してはならないという天皇の気持ちにほかならず、この式典に対し、天皇は沖縄が取り残されたという事実を持ち出し、政府側に反論していたというわけだ。
だが、沖縄の人びとの心情も顧みず、天皇・皇后を出席させて「天皇陛下万歳!」と三唱することで、当時の安倍首相はまるで戦前のような光景をつくり出したのだ。まさしく天皇の政治利用と言わざるを得ない。
だが、高市氏の今回の発言は、それよりももっとタチが悪い。何しろ、自身の所属政党の公認候補への支持呼びかけ、つまり党利党略のために天皇を政治利用したからだ。
ところが、この問題は、「デイリー新潮」および「週刊新潮」やネットニュースが取り上げただけで、新聞もテレビもほとんど取り上げていない。極右勢力やネトウヨに支持されていれば、“国賊的発言”をしても許されるというのが、いまの日本の状況ということなのか。
(編集部)
最終更新:2021.11.04 06:46