「生産性」発言の後も杉田水脈を擁護した安倍元首相! 高市早苗も総裁選で杉田を帯同
つまり、極右思想はもちろんのこと、女性や性的少数者に対する差別発言を繰り出すことを看板にする杉田氏を、当時首相だった安倍氏は「素晴らしい!」と称賛して、比例単独候補としては最上位という厚遇で自民党に引き入れた、その張本人なのだ。
当然、杉田氏の言動に対して批判が殺到しても、安倍首相にとっては「問題議員」という認識はまったくなく、むしろ総理という立場では口にできない“本音”を広めてくれる役割を立派に果たしてくれる議員という認識だったはずだ。
実際、くだんの「生産性」問題の際も、安倍首相行きつけの中国料理店「赤坂飯店」でおこなわれた自民党山口県連青年部・青年局の会合で仲良く同席。このとき杉田氏は「すみませーん、お騒がせしています」と笑顔で登場したといい、安倍首相は杉田氏の辞職を求める自民党本部前でおこなわれたデモに対して「なんでみんな騒いでいるんだろうね」などと口にしていたという(「週刊文春」2018年8月16・23日合併号/文藝春秋)。さらに、テレビ出演した際に杉田氏の問題を問われたときも、安倍首相は「『もう辞めろ』と言うのではなく、まだ若いですから、注意をしながら仕事をしてもらいたい」と擁護した。
また、杉田氏は、先の自民党総裁選では安倍元首相が支持した高市早苗の最側近として活動。テレビ出演時には慣例上同行者は1人だけと決められており、他の候補者は副大臣経験者を連れていた一方、高市氏は要職に就いたことのない杉田氏を同行させていた。
ようするに、安倍元首相は杉田氏の言動を何ひとつ問題視せず、それどころか野党議員やフェミニスト、研究者らに対する不当な攻撃を繰り出してネトウヨから拍手喝采を浴びてきた杉田氏を評価。今回、実弟を使って「比例名簿の順位を上位に上げろ」と党本部に圧力をかけた、というわけだ。
そして、この圧力が功を奏したのか、比例中国ブロックからの立候補を予定されていた河村健一氏は公示直前になって比例北関東ブロック32位に変更に移動。昨日公表された自民党の比例代表名簿によると、杉田氏の順位は中国ブロックで比例単独候補としては3位となっている。つまり、河村氏を移動させたことで杉田氏の順位が上がった可能性が高いのだ。
安倍元首相の意向により、差別扇動候補者がまたも厚遇を受ける──。岸田首相は「刷新」を謳ってきたが、その実態はまさしく「安倍自民党」のままだと言うほかないだろう。