河井案里の裁判でネット業者が「克行先生から溝手先生のイメージを悪くするよう言われ」と証言
中国新聞デジタルが詳報した供述調書によると、このネット業者の代表取締役I氏(供述調書および記事では匿名)が河井克行氏と知り合ったのは2016年、選挙プランナーを介してだった。そしてI氏は、克行氏の依頼を受けて仕掛けた選挙戦におけるネット工作について、検察に対してこのように赤裸々に語ったのだ。
「克行先生にネガティブな書き込みがあれば、検索に表示しにくくする、逆にポジティブなことを表示しやすくして、イメージを良くする、そのような業務をしていました。17年秋の衆院選では、克行先生の依頼で選挙に通りやすくなるようなSNS上の工夫をしたり、対立候補のイメージを悪くしてネガティブな記事の工作をしたりしていました」
「参院選では案里さんのイメージを向上させるようなウェブサイト、SNS、ネガティブ記事の対策を講じていました。克行先生から(参院選広島選挙区に立候補した)溝手(顕正)先生のイメージを悪くするよう言われ、溝手先生のネガティブな記事を投稿していました。架空の人物を名乗り、ブログを書き込み、溝手先生や県連が案里さんをいじめるようなことをしていると、克行先生に確認して記事を投稿しました。私の独断で投稿しているのではなく、具体的な内容は克行先生に指示されていました。ブログの内容も指示を受けました」
つまり、克行氏が出馬した2017年の衆院選においても「対立候補のイメージを悪くするネガティブな記事の工作」はおこなわれ、案里氏が出馬した2019年の参院選では対立していた溝手氏を陥れるために、克行氏からの直接内容の指示まで受けて「架空の人物を名乗ってブログを書き込んでいた」というのである。
案里陣営の元スタッフが公判で語った証言では、克行氏が集会などで溝手氏と案里氏が同席した際には「溝手氏が案里被告に邪険な態度をとるかもしれないから必ず動画を撮るように」「動画を配れば面白いことになる」と指示していたことも判明しているが、それだけではなく、わざわざ業者を雇い、世論操作のためのネット工作が展開されていたというわけだ。
実際、同社には2017年に克行氏が代表を務める自由民主党広島県第3選挙区支部から「ネット世論動向調査」として合計150万6600円が、2019年には案里氏が代表を務める自由民主党広島県参議院選挙区第7支部から「WEBサイト制作代」として43万2000円、「チラシデザイン作成・印刷代」として195万4785円、「動画作成費」として63万7200円、合計302万3985円が支払われている。
しかも、案里氏の政党支部が修正して9月末に提出した「政党交付金使途等報告書」によると、約300万円にものぼるこれらの費用はすべて原資が税金である政党交付金から支出されている。つまり、税金によって世論操作のためのネット工作がおこなわれていたのだ。