公文書改ざんで死に追いこまれた赤木俊夫さんの妻・雅子さんの手紙に岸田首相は…
続いて、辻元議員が鋭く突きつけたのは、森友学園問題公文書改ざんの再調査問題だった。近畿財務局職員として改ざん作業を強いられ、自死にまで追い込まれた赤木俊夫さんの妻・赤木雅子さんが、岸田首相に送ったという手紙を朗読したのだ。
「内閣総理大臣 岸田文雄様。私の話を聞いてください。私の夫は三年半前に自宅で首を吊りなくなりました」
「財務省の調査は行われましたが夫が改ざんを苦に亡くなったことは書かれていません。なぜ書いていないのですか?」
「赤木ファイルの中で夫は改ざんや書き換えをやるべきではないと本省に訴えています。それにどのように返事があったのかがまだわかっていません。夫が正しいことをしたこと、それに対して財務省がどのような対応をしたのか、調査してください。そして新たな調査報告書には夫が亡くなったいきさつをきちんと書いてください」
「正しいことが正しいと言えない社会はおかしいと思います。岸田総理大臣ならわかってくださると思います」
雅子さんに直接会って話を聞いたという辻元議員は、「どんな思いでお手紙を出したのですか?」と尋ねたところ、「岸田総理は人の話を聞くのが得意とおっしゃっていたので、私の話も聞いてくれるかと思い、お手紙を出しました」と話していたと明かし、こう迫った。
「総理、このお手紙で求めていらっしゃる『第三者による再調査』、実行されますか? 赤木雅子さんはこの代表質問を観ますと私におっしゃっておりました。雅子さんに語りかけるおつもりで、ご自分の言葉で、誠実にお答えください」
安倍・菅政権が握りつぶしてきた数々の問題こそ「民主主義の危機」の実態であり、岸田首相はそれらに対してどのように向かい合い、対処するのか。だが、辻元議員がぶつけたこれらの問いに対する岸田首相の答弁は、完全に安倍元首相や菅前首相が乗り移ったかのような、厚かましく恥知らずなものだった。
まず、安倍元首相の118回虚偽答弁や森友公文書改ざんで政治家が誰も政治責任をとっていない問題が「民主主義の危機」に当たると思うかどうかという問いについて、岸田首相は「国民の信頼と共感を最優先」「ていねいな対応を積み重ねる」などと言うばかりで、具体的に答えることなくスルー。
さらに、甘利幹事長の問題については、「私自身は調査報告書を見てはいませんが(中略)説明責任のあり方については、それぞれの政治家自身が自ら判断すべきもの」と言い出し、政治倫理審査会への出席要求に対しては「国会においてお決めになることで私から申し上げることは控える」という、安倍元首相や菅前首相から耳にタコができるほど聞かされてきた決め台詞で終了した。