自らの過去の不正を語り、甘利明幹事長の口利き賄賂問題の説明を迫った辻元清美
次に辻元議員が俎上に載せたのは、甘利幹事長のUR口利き金銭授受問題。「大臣室で大臣が事業者などから現金を受け取る行為を岸田内閣では認められるのでしょうか?」「甘利幹事長はしかるべきタイミングで公表すると言っていたにもかかわらず、先週、調査報告書は公表しないと文書で表明されました。総理は幹事長に任命されるにあたり、報告書をご覧になって確認されたのでしょうか?」と質問し、甘利幹事長の政治倫理審査会への出席を求めた。
しかも、辻元議員がつづけて語りはじめたのは、過去の自身の不正問題についてだった。
「私は19年前に秘書給与問題で議員辞職をいたしました。辞職後でしたけれども、『記者会見ではダメだ。国会で説明しろ』という自民党の強い求めに応じて、私は予算委員会の参考人招致に応じました。そのときの自民党執行部、筆頭副幹事長が、いまの甘利幹事長だったんです」
「ある自民党の先輩に『刑事責任のあるなしとは別に、政治家は政治責任も果たさなければならない』と諭されて、自分の不明を恥じ、私は2期生でしたけれども、震えながら参考人招致に応じました。その先輩は、かつて岸田総理もご指導を仰がれていた、宏池会の加藤紘一・元幹事長です」
この辻元議員の斬り込みに、大きくどよめく議場。当然だろう。甘利幹事長は就任会見では秘書に責任を押し付けるように「事情をまったく知らされていない。寝耳に水だった」などと発言するばかりで、「説明責任は果たした」という立場をとっている。だが、甘利氏が執行部幹部だった際に自民党は辻元氏に国会での説明を要求し、岸田首相が師と仰いだ加藤紘一が「政治責任を果たせ」と迫り、参考人招致がおこなわれていたのだ。
辻元議員は「私も刑事責任と政治責任を自分で負ったからこそ、再びこの場に立たせていただくことができたと思っております。岸田総理は宏池会の先輩方が守ってこられた政治の矜持をお持ちのはずだと私は信じたい」と畳み掛けたが、ようするに辻元議員は掘り返されたくないであろう過去の過ちを自ら引き合いに出し、甘利幹事長や自民党の二枚舌ぶりをさらけ出したのである。