「ROCK IN JAPAN」中止の質問にも「東京五輪もじつは同様の取り扱い」とうそぶく菅首相
さらに、昨日には8月に茨城県で開催予定だった野外音楽フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021」の中止が発表されたが、この件について菅首相は会見で「中止になったことは大変残念」としながらも、「イベントの開催制限は、東京五輪もじつは同様の取り扱い」「緊急事態宣言のもとでは午後9時以降は無観客をお願いすることになっているのでご理解いただきたい」と発言。だが、茨城県は緊急事態宣言はおろか、重点措置の対象地域でさえなく、フェスの終演時間は19時55分の予定だった。だいたい、バブル方式のザルぶりが露呈しているのに都内は無観客でも東京五輪を開催しようというのは危険極まりなく、東京五輪こそ中止の判断を下すべきなのだ。
どうして東京五輪はOKで店内での飲酒はダメなのか、どうして東京五輪はOKで野外音楽フェスは中止になるのか──。このように、国民にだけ負担を強いておきながら、一方で東京五輪だけは聖域として特例扱いにするという状況であるかぎり、菅首相が何を言っても矛盾が浮き彫りになり、アナウンス効果どころかマイナスの反発を生むだけだ。しかも報道によるアナウンス効果にしても、「日本はいくつメダルを獲得したか」に終始する熱狂的な報道がはじまれば、宣言下であるにもかかわらず社会の空気は弛緩しきったものになるだろう。
菅首相は無観客開催について、まるで「自分の英断」であるかのように語ったが、東京は無観客であっても五輪はこの状況下で開催すること自体が大きなリスクを生み出す。国民の安全を最優先し、万全の感染防止対策をとると言うのであれば、中止の一択しかない。つまり、それを選択しない菅首相は、国民を切り捨てたのである。
「緊急事態宣言下での五輪開催」という前代未聞の国家非常事態に突入する日本。1カ月後、一体この国はどうなっているのだろうか。
(野尻民夫)
最終更新:2021.07.08 10:36